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・2017年12月17日(日)14時
・シャーロッテシアター
・スミス船長:김용수(キム・ヨンス)/ イスメイ会長:이희정(イ・フィジョン)
アンドリューズ:서경수(ソ・ギョンス)/ブライド:정동화(チョン・ドンファ)
バレット:켄(VIXXケン)/アリス:윤공주(ユン・コンジュ)
キャロライン:임혜영(イム・ヘヨン)/チャールズ:서승원(ソ・スンウォン)
ジム:송원근(ソン・ウォングン)/ケイト・マクゴワン:이지수(イ・ジス)
ケイト・モリンズ:방글아(バン・グラ)/他
皆さんは覚えておられるだろうか。
7月にシラノに出演した我らがギョンス(クリスチャン役)を見て、「いつになったらおバカな役を脱するのだ!タイタニックにキャスティングきぼんぬ!」としたためたのを。
そしたら本当にキャスティングされたの\(^0^)/
しかもタイタニックの設計士\(^0^)/
能のある役\(^0^)/
そして私の先見の明\(^0^)/
まぁ当時はタイタニックのミュージカルって映画と同じ話だと思っていたので、キャスト発表の時は一瞬ハテナマークでしたが、予習を進めるにつれどんどん見るのが楽しみになっていきました。
🚢俳優のビュッフェ:豪華つまみ食いが可能
映画と異なりこちらは群像劇で、名前が付いてる役がなんと20個(!)あります。20名の乗客、乗船員が期待と夢に胸を膨らませてタイタニック号に乗るところから、最終的に沈没するまでの大きな流れの中で、各人のストーリーが紹介されていきます。ちょっとキャッツみたいな感じ?
キャストが発表された時、何だこの人の多さは~!とびっくらこいたのは、私だけではないでしょう。そりゃあ「超巨大豪華客船タイタニック」のキャストが5人、とかだと物寂しいけどさ…見分けつかないし。と思っていたが、みんなキャラが立ってて意外と大丈夫でした。キャスト多いのに、それなりに名のある俳優を多数揃えてるのも効いている様子。むしろよくこんなに実力者ばかり集められました…!さすがロッテ×ODカンパニー。ちなみに一人何役も演じる俳優が多いので、実際の人物はもっとたくさんいますw
というわけで一見何じゃこりゃ状態でしたが、逆に「人がたくさん出る=たくさんの俳優が一度に見られる」というアドバンテージがあって、すごくお得感のある作りでした。
以下全員ではないですが、各俳優に対する私の個人的な思ひ。
まずは我らがギョンス設計士!頑張ってた。久しぶりの脳みそのある役だから、疲れるでしょうね。笑 ダブルキャストのムン・ジョンウォンさんがちょいワルオヤジ系だから、それと比べて青二才感出てたらどうしようと思ったけど、生え抜きの秀才サイドに収まってて安心。やはり背が高くてイケメンなので、大人数の舞台でも映えますね!スーツ姿カッコよかった。
ムンさんも、プレコ見たらすごくいい味出してたから、見てみたかったな。ベニーが生え抜きの若い設計士だとしたら、ムン氏はどっしり感がある中堅かな。おじさん二人と対峙する“The Blame” みたいな曲は、そのどっしりがある方が全体の重厚感とか深刻さとかが増すかも分かりませんね。えぇ。(誰
ユン・コンジュさんはアイーダ以来。次回作は絶対に見たいと思ってたので、これに出てくれて嬉しかった!しかもアリス役がとてもハマってて。やはり演技も歌もお上手。そして可愛かった~♡
二等客仲間キャロライン役のイムヘヨンたそもくりくりお目々のお人形さんみたいで可愛かった♡オペラ座?ファントム?にも出てたらしいけど、歌い方が確かにクリスティーヌダーエぽい。恋人のチャールズもイケメンでお似合い。
もう一人のイケメンチョン・ジョンファ氏は大活躍であった。通信士だったと思えば次の曲ではバイオリニストに早変わり、歌って踊って大忙し。歌も演技もうまくて、背は高くないけど存在感あるし、笑いを取るのも余裕綽々。ベテランの安定感でありました。一度は見たかった俳優だけど、またぜひ見にいきたい。
イスメイ会長役のイ・フィジョンさん、いい味出してましたね~いかにも意地汚い金持ちって感じで。笑 ファントムのお父さんと同じ人間とは思えない!(それでいい
ケン氏は火夫よりも一等室の乗客の方が似合ってたなw ボンボンな感じで。あと欲を言えばTとKの発音の時にHの音(息?)を入れすぎるのやめてほしい。お仲間のレオ氏もそんな歌い方だった気がするけど、そのグループみんなそうなの?
3人のケイトのうちでは、ケイト2号のバン・グラが突出してうまかった。今回歌う機会が少なくて実力出し切れてなかったように思うし、ケイトにしておくのが勿体無いくらい。彼女はこれから伸びると思う!
同じくもう少し歌を聴きたかったのは、ジム役ソ・ウォングン。スリル・ミーのプレコで良い低音!と思って注目していたのです。背も高くてかっこいいよね。彼も出番少なかったのが残念だったわー。
エッチスとフリートとライトラー役の俳優の顔の見分けがつきませんでしたごめんなさい。どの方も良かったです。
カーテンコールは全員一斉に出てきてお辞儀って感じだったけど、これだけ粒揃いなんだから最後は一人ひとりに拍手を送りたかった!せめてグループ毎とか!
🚢舞台に引き込まれ、気づいたら海の中
個人的にはセットも俳優も演出も、曲もストーリーも、全部良かった。今回見た4作品の中ではダントツトップの好感度。いや、今年見たものの中でも片手には入る出来だったかな。
劇場内に入ると目に飛び込むのは、舞台に縦横無尽にかけられたタラップ。かっこいい!セットはこれがほぼ全て(といっても十分立派)で、あとは家具類が出たり入ったりするくらい。このタラップの上下を活かして陸地、船上、デッキ、機関室、見張り台などが現されます。タラップには無数のライトがついていて、客船の照明になったり、星空になったりして綺麗。
照明や衣装は、全体的に青い(写真では紫っぽいけど…)。個人的には2等客室の2人の女性(アリスとキャロライン)の青x白の衣装が綺麗めで好き。
曲は、まずオープニングがよき。みんなが乗船していくときの一連の曲たち大好き!期待に胸を膨らませる乗客乗員を見て、こっちまですごいウキウキして楽しい気持ちになる~(^0^) その分、後半との落差が激しいんだけどね…。
あと好きな曲はブライドの”The Night Was Alive”。キラキラした感じが。でぃっでぃだでぃっだーでぃっ♪この曲の時のチョン・ドンファ氏の演技も良かった。彼なら「昔は引きこもりだった」ってのもなんだか納得できるから(笑)、余計今はこの仕事好きなんだなってのが伝わってくる。
衝突する直前の”No Moon”からの”Autumn”も好き。見張り番フリートが「月も風もなく、静かな夜」と歌う中、それぞれが思い思いのひと時を過ごす様子が描かれる静かな曲。実際にタイタニックが沈没した夜は、海が静かすぎて氷山にぶつかる波もなく、そのために気づくのが遅れたと言われているようで、「嵐の前の静けさ」を体現したような曲です。
今回見る前、毎朝のように”To the Life Boats”と”We’ll Meet Tomorrow”のショーケース動画を通勤中に見て、引き裂かれる人々の姿に涙ぐみ、シュトラウス夫妻のくだりに毎回涙腺が崩壊させていたのです。そして好きな人々は大切にしようと心に誓い、会社に着く頃にはコルチゾール放出終えてスッキリ。しかし本番を前にするとさらに悲しさが増して、ガッツリ泣いてしまいました。
この2曲は作品中で一番緊迫する山場だと思うのですが、限られた時間の中で別れを惜しみ、救命ボートに乗る(乗せる)人々の姿を現すのに逆にスローモーションを多用しているのがとても効果的というか、切迫した状況がより目に焼きついて、あぁ、思い出すだけで泣けてくる。各人があちこちで色んな動きをしているので、スローモーションと言えども目を凝らして方々に注意を払う必要があります。
そして恐ろしいのが、沈没シーン・・・。
救命ボートが全て降ろされ、船に残された人々がそれぞれ最期に向かい合う中、設計士アンドリューズが救命胴衣もつけず、一人タイタニックの図面に向っている。今となって彼は、自身の設計のどこがいけなかったのかを省み、沈没が進むにつれて船体や人々がどうなっていくのかを予見する。それに合わせて上から家具や持ち物や人がどんどん、ワイヤーで釣られてゆっくり「沈んで」くる。あるところまで来るとそれらは上下に浮遊。人はもちろんもう死んでいて、力ない四肢を揺蕩わせている。
まるで舞台全体が海中に沈んだかのような演出で、これがもう衝撃的怖さあんど生々しさ(T_T) 浮いてるのが誰なのか服装で大体分かるから、「あぁあの人やっぱり助からなかったんだな…」と現実を突きつけられた気分になります。
最後は生存者に加えて亡くなった人たちまでなぜか出てきて、オープニング時のような雰囲気の中”In Every Age Reprise”が歌われ、不安と前向きな気持ちが混ぜ合わさったメロディーで幕を閉じます。
冒頭でアンドリューズが歌っていたこの曲。ピラミッドや大聖堂、ローマの水道橋などを引き合いに出し、あたかも「人間はタイタニックを作ることで人類の限界に挑戦した(そして敗れた)」という美談みたいな空気醸し出してますけど。一個だけいいですか。
この沈没事故
完全に
人災ですから!
以上!