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浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

영웅 / 英雄を見にホットスポット(光化門広場)へ行こう

韓国ミュージカル 創作ミュージカル

 

 

★★★★★

 

・2017年2月18日(土)15時

・世宗文化会館

安重根:양준모(ヤ・ジュンモ)

    ソリ:리사(リサ)

 伊藤博文:이정열(イ・ジョンヨル)

 リンリン:허민진(ホ・ミンジン)

 

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🔫まずはあらすじをさくっと

 

<一幕>

ロシアの白樺の森の中、安重根は日本帝国に侵略されつつある大韓帝国を救うべく、同志たちと左手の薬指第一関節を切り落とす「断指同盟」を組む。指から流れ出た血で「大韓獨立」と太極旗に書き、決意を固める。

 

その頃景福宮では日本による明成皇后暗殺を受けて女官ソリが悲嘆に暮れている。ソリは敵を討つために日本行きを決意し、キム内官によって安重根に引き合わされる。

 

転じて舞台は東京。伊藤博文は側近とともに芸者遊びを楽しみつつ、満州行きを決める。そこに踊り子として現れたソリ(源氏名はナミダ)を一目見て気に入り、自分の側に置くことにする。

 

安は中国人の旧友ワンウェイが営むウラジオストクの食堂にて同志たちと合流する。同地ではワダ率いる日本警察が反逆分子を日々追っている。ある時また追われていた安は、一緒にいたワンウェイの妹リンリンと恋人を装い、街角でキスすることで追っ手をかわす。リンリンは安への特別な感情を自覚する。

 

警察は安たちをワンウェイの食堂にまで追ってき、彼は安たちを逃がすが、代わりに日本警察に拷問されて命を落としてしまう。自分をかばって亡くなった友人の葬儀にて安は、自分のしていることは正しいのだろうかと苦悩するが、故郷や母のことを想い、意志を完遂することを誓う。

 

安たちのもとに日本のソリから、伊藤のハルビン行きが知らされる。安たちはこの機会を捉え、在ロシアの協力者チェ・ジェヒョンの反対を押し切って伊藤暗殺を決意する。

 

<二幕>

白樺の林の中で安たちは伊藤襲撃の練習をしている頃、伊藤はソリを連れて日本を後にする。

 

ウラジオストクでは安たちが相変わらず日本警察に追われているが、見つかってしまった安をかばってリンリンが被弾。リンリンは息を引き取る直前に安への想いを伝える。その場には彼女を想っていたユ・ドンハも居合わせており、安はリンリンの亡骸を彼に託してハルビンに向かう。

 

伊藤の列車が万が一、ハルビン到着前に一時停車した場合に備え、同志ウ・ドクスンとチョ・ドソンは手前の蔡家溝駅で列車を待っていた。長らく待ったあげく列車は結局通過するが、二人は列車に銃を構えているところを見つかり、逮捕される。

 

ハルビンに向かう特別列車で伊藤に同行するソリは、眠りについた伊藤を簪で刺し殺そうとする。しかしソリを警戒した伊藤は寝たふりをしており、失敗。失意のソリは走行中の列車から身を投げて自決する。

 

安は市内の教会を訪れて最後の祈りを捧げた後、ハルビン駅に向かう。駅では大勢の人が伊藤の到着を歓迎していた。安はその中に紛れ込み、下車してきた伊藤に向かって発砲、「大韓独立万歳」と三唱する。

 

逮捕された安以下4名の裁判。安は伊藤を暗殺の動機として伊藤の朝鮮への所業を述べ、「誰が真の罪人だろうか」と問いかける。最終的に安は死刑判決、他3名は懲役判決を言い渡される。

 

独房にて安は『東洋平和』を執筆している。安は看守の千葉に「互いが認め合い、尊重し合えば東洋の平和が実現する」と説き、共感した千葉は安を先生と慕う。刑の執行を目前に安は千葉に「為国献身軍人本分」という絶筆を捧げる。千葉は安の母チョ・マリアから送られてきた白装束を安に着せ、安は絞首台へと向かう。

 

さくっと書くつもりが…

 

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🔫ミュージカルとして楽しんだもの勝ち

 

この作品、前菜が一番重い。

 

だって一曲目から血気盛んすぎでしょ!というか本当に血出てるし…包帯血みどろだし…

自分で指を切り落としてまで祖国救済を誓う場面だから、俳優さんたちもすんごい熱がこもってて、一曲目にして盛り上がりがフィナーレだった笑

 

しかも本作、会場は光化門広場に面する世宗文化会館。そしてこの日は土曜日。ということで広場では、朴槿恵退陣の集会を絶賛開催中でした\(^0^)/

その隣で「英雄」やってるわけだから、もう劇場の中も外も国民感情大噴出\(^0^)/

それらを日本人がミーハー心で見にきてることなんて悟られないようにしようと、なぜか本能的に思ったのでした。

 

というか本作を観にいこうという日本人ってそもそも少ないんじゃないかな。私は良く言えば好奇心、悪く言えば話のネタにするために、わりとニュートラルな気持ちで観にいってみました。

 

日本がどう描かれているかということも、韓国語の台詞が全ては(というか大部分は)分からないという問題があるので…日本のことを何て言ってたかとか、安や伊藤の主義・思想の細かい台詞は聞き取れなかったんだけど、別に日本や伊藤がそこまでゲスな描かれ方はしていなかったのかな、という印象。少なくとも隣の大国の抗日ドラマのようなことはなかった笑

 

それよりは逆に安重根の内面や理想を丁寧に描写することで彼を持ち上げて、相対関係を作っている感じ。「反日の英雄」というよりは、「祖国と東洋の平和のために戦って散った英雄」という描かれ方なのかなと感じた。

特に最後の独房での千葉看守とのシーンは、外交や世論ではお互いの印象が悪くても、個人レベルなら彼らのように意思疎通して、前向きな関係が築けるんだよ!てなことを暗示してくれてるのかなと思いました(希望的観測 でも見てた人たちには本当にそう思ってほしいな。

 

ま、もっと韓国語が分かるようになってからまた見たら「全然違うじゃん!w」てなるかも知れないけど、そんなわけで少なくとも言葉が分からないうちは、ミュージカルとして十分楽しめる作品でした。テーマ的に、朝鮮人役の俳優は演技にひときわ熱がこもっていた印象を受けたけど、それ自体はミュージカルとしてはいいこと。曲もいいしダンスもハイレベル、衣装やセットも豪華で、俳優陣も素晴らしい、韓国ミュージカルの大作と言っていいと思います。

 

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🔫各方面の「英雄」たち

 

主演のヤン・ジュンモさん。初めてだっただけど、実力のほどは保証されているも同然なので、期待通りの安定感と声量。そして漢!って感じのイケメン。筋肉つきやすそう(何目線

 

日本警察と同志たちとのチェースも、ダンスのテンポと迫力がgood。ともすると冗長になりがちなミュージカルのダンスシーンですが、「ここまでやるなら文句ないわ!」という作り込み具合。ニュージーズを想起させる大勢でのアクロバティックなダンスシーンが、いくつかありました。ダンスナンバーの最後に、日本警察で唯一歌要員だと思ってたワダがバク転したのにはびっくり!伊達じゃなかったのか!w

 

そして何と言ってもmyハイライトはソリ役のリサ姐さん(ともはやお呼びしたい)の辞世の歌。

伊藤殺害に失敗して慕っていた明成皇后の仇も討てず、日本で身を危険に晒してまでしてきた苦労が水の泡と化した時、失意とふがいなさに打ちひしがれた彼女は列車から身投げするのだけど。

この身投げ前に、列車の乗降口に立って辞世の歌を歌い上げるシーンがすごく印象に残ってる。鬼気迫った表情で髪を振り乱し、裾に赤いグラデーションが入った白装束を風になびかせながら暗闇に浮かび上がる姿は、まさに生霊そのもの。この世の全ての恨めしさを一身に纏い、それを自分に、世界に、天にぶつけるように歌う気迫と凄味と言ったら。凄い(ボキャ貧

 

あと何気に一番気になってたのは、「暗殺シーンで拍手が起こるのか」ということ。実しやかに語られていますね。

これは結論から言うと、半分本当で半分嘘だったかな。

静寂の中、パンパンパンッ!と銃声が響いた直後は水を打ったようにシーンとしていて、「これさすがに拍手起きないんじゃない?」と様子をうかがっていたら、直後に安が「大韓独立マンセー!」と三唱。これに拍手が起きた。

それでも拍手喝采というよりは、客席の誰かが拍手し始めたからそれにパラパラと続くという、韓国の観客にしてはとても静かな拍手だった。ところで「マンセー」と聞いたら反射的に拍手するようになってるんだろうか。確かに日本でも万歳三唱の後は拍手が続く気がする。そんくらいのもんだったのかな。これは見る観客層によってその時々で違ってくるのかもしれない。

 

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🔫その他ツッコミ&メモ

 

・オペラグラスでヤンジュンモさんの手元を注視したら、切り落とした設定の左手薬指をちゃんと折ってテープで固定してた!芸が細かい!

 

・日本人はたまに日本語を使うんだけど、ワダが「チョーセンジーン♪」って突然歌い出してファッ!?

 

あとは

 

伊藤「カンパーイ!」一同「ハイッ!」

いや乾杯してあげてww

 

・ユ・ドンハ役の박종찬、よく声が出てたなあ。要チェック。

 

 

以上!