浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

Hedwig and the Angry Inchでハジける花金を!

 

 

★★★★☆

・2017年10月13日(金)

・シアターオーブ

・ヘドウィグ:ジョン・キャメロン・ミッチェル

 イツァーク:中村中

 

 

🚻元祖御ヘドウィグ

 

ジョン・キャメロン・ミッチェル様ご本人による御ヘド。なぜ、今、日本に!?と不思議ですが、何はともあれご尊顔を拝しにいってまいりました。

 

でもヘドウィグって歌以外、ほとんどがヘドウィグの自分語り。アドリブもたくさんあるだろうし、字幕とかどうするんだろ?って思ってたら、今回ちょっと普段とは違うスタイルだった。

如何せんジョンへドは日本語できないので、自分語りの部分は全部中村中がやってたよ!しかもヘドウィグの格好して!という一人二役?二人一役?スタイル。

ジョンヘドはたまにイツァークに向かって「ウルサイヨ!」とか言うだけ。笑

ジョンへドの語りも聞きたかったけど、まぁ致し方ないでしょう。字幕出すよりはスマートな解決法に思いました。特にこの日は初日で全体的に細かいツメが甘い印象だったので、へたに字幕使うよりよかったかも。

 

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だってジョンでさえ、最後のMidnight Radioで奥から進み出てくる時に、マイク持ち忘れて奥に取りに戻ってたw 演奏はもちろん仕切り直し。歌詞の字幕もぐっちゃぐちゃな曲があって。やはり初日はこういうことが起きるよなー。

観客の盛り上がりも土日の方がすごかったみたいだし、土日に行きたかった!ま、チケット倍率高すぎて無理だったから仕方ないんだけどね。

 

3日間限定ってこともあって舞台セットも正直ショボかったというか、全然可愛くなかった!あの風船人形は何だったんだ。微妙にライトも合ってなかったし。

と、そんなこんななので舞台自体の完成度はまあまあだった。ミッチェル氏の御ヘドウィグだからこそ、全体の満足感は高いけど…という感じ。相方の中村中さんも声出てたし、両性具有感がこの舞台には持ってこいでした。

 

 

🚻ヘドウィグはひとつの「ジャンル」

 

ヘドウィグって一応「ミュージカル」に分類されているけど、「ミュージカル」の一言では片付けられない位置づけにあると思うのです。

 

それは客層を見ても明らかで、普段のミュージカルにいる人とは毛色が全然違ったし、バリエーションも豊富でした。若い人、中年の人、業界っぽい人、派手な人…。男性も多かった。中には、ヘドウィグやイツァークのコスプレをしてる人もいました!

 

私の周りでも「ミュージカルには興味ないけどへドは好き!」って人がちらほらいて、不思議に思ってきっかけを聞いてみたら、映画に出会ってハマったパターンが多かったかしら。思えば私もヘドウィグとの出会いは、ミュージカル方面ではなく、一時期映画をよく見てた時に手に取った作品だったから、なのでした。

 

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内容も「LGBTもの」を超えた、普遍的で哲学的なテーマだしね。

The Origin of Loveは、男も女も、男性性も女性性も、性的嗜好も、みんな後から勝手にラベリングしただけのものじゃんという自分の感覚に合っていて、映画で見た時に大いに共感&感銘を受けた曲。

もちろんジェンダーだけではなく、子どもから大人への成長やその過程での心地悪さとか、謝罪とか許しとか、誰もが多かれ少なかれ内面に抱いているイシューに触れる作品だと思うの。どれも触れられて気持ちのいい問題ではないけど、自分自身で折り合いをつけないといけないもの。折り合いをつけられた人も、今つけようとしている人も、「自分だけじゃないんだ」とヘドウィグやイツァークを見て思えるのではないでしょうか。

 

だからヘドウィグはただの「ミュージカル」でも「映画」でも「ロック」でも「LGBT作品」でもなく、「ヘドウィグ」。

この作品と出会えた人は幸福だと思うけど、人に勧めても「オカマミュージカル」で片付けられて見てもらえないこともある。

もったいないだなーこれが。

 

以上!

 

 

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