浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

신과 함께 / 神と共にってよく考えたら神は出てこないような

 

 

★★★★★

・2018年4月8日(日)14時

・芸術の殿堂 CJトウォル劇場

・チン・ギハン:김용한(キム・ヨンハン)

 クァンリム:서경수(ソ・ギョンス)

 キム・ジャホン:이창용(イ・チャンヨン)

 ヘウォンメク:최정수(チェ・ジョンス)

 ドクチュン:이혜수(イ・ヘス)

 ユ兵隊(怨霊):강상준(カン・サンジュン)

 

 

このミュージカルは「神と共に」のうち、「-あの世編-」についてです。

 

一応事前に単語を辞書で引きひき、ウェブ漫画を読んでいきました。いい話でした。ミュージカル版は、あちこちで少しだけ変更がありますが、ほとんど気にならないくらい原作漫画に忠実です。以下にあらすじを書き起こしてみますが、漫画とミュージカルの両方を思い出しながら書いたので、その二つが混ざっていると思われます。「大体こんな話」くらいに思っていただければ。

ちなみに私の調べでは、映画版では主人公のプロフィールががらっと変わったりしているみたい。

 

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👹長すぎてあらすじとは呼べないあらすじ

 

飲酒に起因する肝臓病で亡くなった中年男性キム・ジャホン。三人の死神(グァンリム(ゲジ眉男気リーダー)・ヘウォンメク(剣クールガイ)・ドクチュン(純真ボブガール))がお迎えにきて、他の死者たちとともにあの世行き電車に乗る。

あの世は結構寒いらしく、行商人が死者たちにモモヒキを売りに来る。お金がなくてモモヒキが買えないおばあさんに、ジャホンは突然手元に現れた紙幣でモモヒキを買ってあげる(ちょうどの「この世」のジャホンの葬儀で、参列者が棺に紙幣を挟んだタイミングだった)。

とそこで、乗客のうち、カーキ色のポンチョを頭からすっぽり被った不気味な人物が「このままでは死ねない…!」と口走ったかと思えば、電車のドアが開いた隙をついて逃げ出してしまった!死神たちはすぐにその後を追いかける。

 

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~ここからストーリーが二つに分かれます。~

 

@あの世のストーリー

そのままあの世行き列車に乗るキム・ジャホンは到着後、若手弁護士チン・ギハンと出会う。ジャホンはこの先49日間で地獄の大王たちによる7回の審判を受け、全てで無罪を勝ち取らなければ地獄に落ちてしまう。チン弁護士はその弁護を引き受けてくれる国選弁護人だという。

弁護の材料とするために生前の行いの聞き取りが始まるが、キム・ジャホン、善行も悪行もまぁ平凡。これというアピールポイントがない上に、両親より先に死ぬという最大の親不孝をしているため、裁判を有利に進められるのか心配になる。

・地獄1…殺生を審査する刀山地獄。その日の裁判人数枠の最後の方に滑り込んで、審判に疲れた大王が「面倒だから最後三人はまとめて無罪っ!」となり、無罪確定。大王のサボり癖をチン弁護士は統計によって予め把握しており、その狙いが当たった格好。

・三途の川を渡る。着ている服の重さ=罪の重さとなり、それによって川を渡るのに乗れる船が違う。ジャホンたちはモーターボートで、周りのアヒルさんボートや浮き輪に比べれば、悪くない方。川が荒れて船がひっくり返ってしまうが、そこにあの世行き列車でモモヒキを買ってあげたおばあさんがクルーズ船で通りかかり、助けてもらえる。

・地獄2…生前の盗み等を審判する火湯地獄。罪の重さによって溶岩、糞尿、硫酸など入れられる鉄釜が変わる。キム・ジャホンは拾った財布から2万ウォン抜き取って財布を郵便ポストに入れておいたことがあり、それを咎められる。それに対しチン弁護士は、財布は持ち主の手元に戻っており、持ち主としてはカードや身分証などが戻ってくることの方がよほど大事だろう、わずかな現金など取るに足らないものだ、と弁護。大王は納得したものの、無罪にすることはできないとして糞尿鉄釜の清掃を4日間命じる。清掃をこなして地獄2はクリア。

・地獄3…親不孝を審査する氷山地獄。地獄に入る時にジャホンは手足を切り落とされてしまうが、チン弁護士が地獄植物園から肉と骨を生やす花を失敬してきたおがけで手足を取り戻し、いざ裁判。ここではジャホンの両親の胸部X線画像が出てきて、心臓のあたりに釘がいくつも刺さっているのが写っている。一つひとつがジャホンの言動によって両親の心に刺さった釘を現している。家計が苦しいのに塾代を出させたこと、帰省しなかったことなどを咎められ、都度チン弁護士が弁護。最終的に「親に先立つ不孝と、その原因が親から貰った大事な体を飲酒により傷つけたこと」を責められて窮地に陥るが、チン弁護士は物的証拠とともに「被告は誰よりも親を思っており、飲酒も接待だったため仕事を成功させるのにやむを得ないこと。仕事で成功して親を心配させまいとした」と弁護してお咎めなしとなる。クリア。

 

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・地獄4…殺生や盗難、淫行等々五つの罪の重さを総合的に量る剣樹地獄。被告人は秤に乗せられ、各罪の重りが次々と積まれる。ジャホンは基準となる重りよりギリギリ軽く、クリア。

・地獄5…生前の発言を審判する抜舌地獄。主の閻魔大王が農作業姿で待ち構え、到着するや否やどんちゃん騒ぎ@農場。実はこの農場、罪人たちの舌を長ーく引っ張り出して、その上を耕して植樹したもの。一汗流した後にジャホンの生前発言は検索システムにかけられるが、該当するような罪深い発言はなく、地獄5もクリア。それどころか感激した閻魔大王に何でもほしいものを聞かれ、チン弁護士のアドバイスで装甲車をもらう。

・地獄6…生前の周囲の人たちの罪を連帯責任で裁く地獄。装甲車で地獄入口に向っている途中で装甲車ごと穴に落ち、審判前に地獄に落ちてしまう。罪人たちにボコられるところを引き揚げられ、裁判でも無罪。

 

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・地獄7…商業的な罪を審議する鉅骸地獄。有罪になると鋸で切られる。ジャホンは生前、下請会社に無理を強いたこと理由に切断されそうになるが、「彼も他の人たち同様、必死に生きてきた」というチン弁護士の熱弁(熱唱)により許され、無事に7つの地獄をクリア。転生できることになる。

ストーリーが進むにつれ、チン弁護士は個人弁護士事務所を立ち上げており、キム・ジャホンの弁護が初仕事ではあるが、弁護士養成学校(校長:地蔵菩薩)では何世紀に一度のレベルの天才と評されていたことが分かる。そのレベルであれば大手弁護士事務所に入って善人の弁護だけすればよく、ありとあらゆる特権が付与される立場になれたが、チン・ギハンはあえてその道を選ばなかった。それは善人の弁護をするばかりでは、困っている人を救えないから。通常ならありえない選択をしたチン弁護士の奮闘ぶりに、地蔵菩薩閻魔大王が注目している。

 

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@この世のストーリー

電車から逃げたポンチョの怨霊を、死神三人衆が追う。北方警備の使者が攻撃されたことで、怨霊の大体の居場所が分かってそちらへ向うが、ドクチュンが怨霊に拉致されてしまう。

怨霊に向き合ったドクチュンは、怨霊が殺された上に死体を隠蔽されたことを知り、助けにきたクァンリムが渋るのを説得して死体を探し出してあげる。そこで怨霊は、自分が死んだ経緯を語る。

その日自分は軍隊で後輩と二人で警備業務に当たっており、翌日休暇をもらうはずだったが、突然後輩の銃が暴発し、弾が胸に当たってしまった。上官が呼ばれた時点では意識がなかったため、死んだと判断した上官は保身のために部下に命じて穴を掘り、自分を埋めて事件を隠蔽しようとした。埋められている最中に意識が戻ったが、上官は気づいておきながらなおも土をかぶせ続け、自分は穴の中で一日苦しんだ後、息絶えた。そして自分は休暇に出たまま復隊しない脱走兵として処理されてしまった。

ドクチュンたちはこの話に愕然とするが、上官たちは死後裁かれるため今すべきことはないとして、おとなしくなった怨霊をあの世に連れていこうとする。通り道には、怨霊が勤務していた基地があった。その前にはなんと、息子の失踪を不審に感じた年老いた母が、「息子が脱走するはずはなく、真相を解明してほしい」と訴えるプラカードを持って涙ながらに立っていた。毎日のように来ていたのか、老母は息子の怨霊が見ている目の前で基地の軍人たちに邪険に扱われ、追い払われてしまう。自分を探す母が蔑まれる姿を見た怨霊は怨念が爆発し、巨大な悪の力を持つビッグ怨霊(?)になってしまった!そしてクァンリムたちの制止を振り切って逃げてしまう。

 

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このままだと怨霊に上官が復讐されてしまう。逃げた怨霊を探知するドクチュンは、一つでなく二つの魂を感じると報告する。怨霊は既に上官をヤッてしまったのか?だがもう一つの霊は暴発した銃の持ち主、後輩だった。彼も怨霊が亡き者にしてしまったのかと思われたが、実際には逆に、呵責の念から自殺を図った後輩を怨霊は止めようとしたという。後輩のことは許せるが、上官だけはどうしても許せないと怨霊が言っていたと聞き、復讐を防ぐべくクァンリムは宝刀・四寅剣を呼び出す。四寅剣で斬られた怨霊は人間の姿に戻り、今度こそおとなしくあの世に行きますと告げる。

だが男気溢れるクァンリム、あまりにも気の毒な怨霊くんを目の当たりにし、隠蔽上官に烙印を一発カマして死後の地獄行きを約束してくる。さらにはお母さんにも別れを告げたいだろうと、オモニの夢に出して別れの挨拶をさせてあげる。

そうしてやっとあの世の入口までやってきた元・怨霊くん。周りの死者たちが次々に弁護士と合流する中、自分の弁護士だけ見当たらない。極悪人には弁護士がつかないと聞かされていたので、自分もそうなのか…と落胆していると、「お待たせしましたー!」と息を切らして、弁護士のチン・ギハンが現れる。

 

 

👹以下「かかか」(感想は簡潔に書こう)

 

最初スチールを見たときに「なんじゃこりゃ!もみあげクルンにゲジ眉スーツ!劇画かっ?ナンセンス系?」と失礼なことを思ったのですが、実際は上記の通り、結構ちゃんとしたストーリー構成。見た目の滑稽さは、慣れます。

 

セットは、ステージを囲む大きな輪っかが印象的。登場人物たちが輪っかの上を歩いて行き来したり、中央部分が上下して色んなものに見立てられています。

照明もアニメ風。光線がよく出てました。

 

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二幕冒頭のクァンリムとチン・ギハンが「君を救ってみせる」みたいに歌う決意の曲がかっこよかった!頼れるあんちゃんたち!男気!やはりギョンスかっこいい!背が高い!舞台映え!男前!脱いで!

剣の曲もかっこいいし好き。思ったより高い音まで出るギョンス。

 

実はクァンリムダブルキャストのキム・ウヒョンと、チンギハン役のチョ・ヒョンギュンも一度はぜひ見たい俳優。そっちの組み合わせでも見たかったなー!

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そして今回、なななんと!舞台両側に英語字幕がついていました!!これは助かった。グッジョブ。予習していたとは言え、あの世のボキャビュラリーは難しいのでね。あえてこの作品に英語字幕をつけた意味とは?今後もぜひ広まっていってほしい、英語字幕。

 

 

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以上!