浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

うたかたの恋、アンシャントマンで宝塚の王道回帰

 

 

★★★★★

 

 

・2023年3月18日(土)15:30

東京宝塚劇場

・ルドルフ:柚香光

 マリー:星風まどか

 ジャン・サルバドル:水美舞斗

 フェルディナンド太公:永久輝せあ

 

f:id:oucalaisponti:20230416103539j:image

 

💝うたかたの恋


華やかで軽快なテンポの『美しき青きドナウ』、この曲がかつてこんなに悲壮感を醸し出したことがあっただろうか…。


フェルディナンド大公は、自分が逮捕に向かった先で二人に死なれちゃって、事後処理大変だったろうな…というのが見た直後の感想。


というのは冗談で、運良く見られた本作、なんかすごく宝塚らしいもの見たな〜という感慨に浸れました。直近のラインナップが不良高校生(ハイロー)や中国人(蒼穹の昴)やグルジア人(ディミトリ)だったので。

耳に残るテーマ曲も最初と中盤と最後でがっつり聞かされて、幕間には「愛はさら〜にさら〜に…」と脳内再生しながらトイレの列に並びました。


冒頭の舞踏会のシーンが優雅で、群舞とか男役さんたちが次々に踊るところはバレエ白鳥の湖の一幕を彷彿とさせますね。

なーんて呑気に見ていたけど、後半改めて同じ舞踏会のシーンになると、その優雅なベールの下には悲壮感しか漂っていなくて、心が苦しくなりました。

ルドルフとマリーが踊り始めたのを見てエリザベート皇后が意味ありげに立ち上がるの、最初は「?」だったけど、全ての経緯を知った後で見ると、あの時エリザベートにはルドルフに忍び寄る死の影が見えていたのではないかとハッとしました。完全にミュージカル『エリザベート』の影響受けまくりの解釈だけどw でもこれ見てる人のほとんどは『エリザベート』も見てるだろうから、意識しちゃうのも無理はないよね。


花組を見るの、アウグストゥス以来でわりとご無沙汰だったのですが、柚香さんの演技にすごく厚みと落ち着きが出たなぁと思いました。独特のイントネーションも健在で、時折「ハハハッ…」と笑うのも相俟って、今目の前にいるのはアニメキャラなのかな?と何度か錯覚しました。


ルドルフとマリーの悲恋もので美しかったのですが、前半のマリーのルドルフ推しが強すぎて、ちょっと見方を誤ると、マリーが推しと両想いになって推しに殺されるという、推し活の真骨頂話のようにも見えてしまった(汗)。

でもルドルフがジリジリと追い詰められていって、最後に死を選ぶことになるまでの道筋をきちんと描いていたのは良かった。これならルドルフとしては、マリーがついてくるかどうかに拘らず、もう死ぬしかないと思うだろうな、と言う納得感がありました。

そういう意味ではマリーもマリーで、支えていくと決めた推しと心中するということを自分の意思で選んだのだから、結果的にはいいのかもしれないなぁ。


なぜならルドルフものだとどうしても私はワイルドホーンの『ザ・ラスト・キス』が比較対象に出てくるのですが、そちらでは一人で死ぬ勇気もないズタボロヘタレルドルフがマリーを巻き込んで死ぬ話のように私は思えていて、いまいち「私たちが結ばれるにはもう死ぬしか道はない!マイヤーリングへレッツゴー!」というルドルフとマリー両方の切なる死への希求は感じられなかったんですよね。


でも、まぁそんなことはどうでもよくなるくらい、ルドルフやマリーが美しくて、周りの登場人物がしっかりしていて、衣装やセットも統一感があって、素敵で、すごく没入感が得られる作品でした。


ところで、ルドルフの周辺人物について観劇後に調べていたのですが、フェルディナンド大公って後にサラエボ事件で暗殺される、あのフェルディナンド大公だったのですね…。しかも劇中で恋人として紹介されていたソフィも一緒に暗殺…。フェルディナンドは史実では冷遇されつつもソフィとは結婚できたようだけれども、その結末が暗殺だなんて、やっぱりハプスブルクの引きの強さは侮れない。

 

 

f:id:oucalaisponti:20230415113741j:image

 


💝アンシャントマン


オープニングの感じが『デリシュー!』と似てるな〜と思っていたら演出家が同じなのね。どちらも全体的に色合いとか好きだったから、私に合ってるのかもしれない。


好きだった衣装

・中詰めの衣装全体

 特に黒い円盤みたいな帽子つけて黒い羽根持って踊る烏の姐御みたいな方達の衣装

・星風さん女神降臨ブルードレス

 手に星持ってる時のやつ。自由の女神みたいなキラキラのティアラつけて、青いベールを靡かせながら降臨。この曲の最後のポーズ(?)もよかった。星風さんと柚香さんが向かい合ってて、柚香さんの後ろに連なるように長い列ができてるの。その列はうねりながら大階段まで続いていて、二階席からだと天の川みたいで綺麗でした。

・フィナーレ娘役群舞の衣装

ゴールドのドレスに黒い手袋の組み合わせがシックだった。あまり踊る時間は長くなかったので、たくさん見られなかったのは残念。

・ウィリー・ウォンカ

 好きだったというより印象が強かったのが、オープニングのハットとスティック。私この組み合わせ、『チャーリーとチョコレート工場』のウィリーウォンカにしか見えないのよね…みんな素敵でキラキラでいい場面なのにウィリーウォンカがいっぱいいるようにしか見えなくてごめんなさい…

 

f:id:oucalaisponti:20230416103557j:image


そういえば衣装と言えば、フィナーレの男役群舞のタキシード、珍しくトップ以下全員同じものだったような…。序列に応じてスパンコールなど特になく。そういうこともあるんですね。


今回は、芝居も上も、どちらかというとかなりクラシックな宝塚と言う感じで、万年宝塚素人としては「宝塚を見たなぁ〜!」と言う感慨に浸りながら帰路につきました。これでまた次から何でもどんとこいと言う心意気で臨めます。

 


以上!

 

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com

 

oucalaisponti.hatenablog.com