★★★★★★
・2026年1月10日(土) 19:00
・忠武アートセンター
・ヨンシル/カンベ:고은성(コ・ウンソン)
世宗/ジンソク:신성록(シン・ソンロク)
チョンファ大将/マ教授:최민철(チェ・ミンチョル)
イ・アム/教皇:김대호(キム・デホ)
チョンウィ姫/エレナ:이지수(イ・ジス)

🪐ストーリー
粗々で違うところもあると思うけどだけど字幕メガネのおかげでだいぶ分かったはず。順番は多少前後してるかもしれません。
<第一幕>
現代。世宗時代の科学者チャンヨンシルについてのドキュメンタリーを制作したいテレビプロデューサーのジンソクは、情報提供者に会うためにイタリアに来ている。そこで突然走ってきた女性エレナにノートを一冊託される。エレナは追われており、何の説明もなく走り去っていった。
帰国したジンソクは大学の同級生で古文書が読めるカンベを訪ねる。カンベは優秀な国文学の若手研究者だったが、研究から退いてキャンピングカーで暮らしていた。
備忘録を見たカンベは最初は偽物だと一蹴するが、備忘録内には景福宮の絵や「恋しい」という言葉があることから、朝鮮を発った人が書いたものではと推測する。かつて朝鮮からイタリアに渡ったアントニオ・コリアという朝鮮人がいたらしいから、その人物ではないかと。また、最後のページに韓服を着た男の絵が描かれているが、ジンソクの考えではこれは朝鮮時代の服に間違いなく、これは備忘録を書いた本人ではないかとも考えている。
改めて備忘録の中身を見たカンベは突然人が変わったように「これは私の星ではないか、私の飛車ではないか。奴婢も夢を見ることができた時代」と口にする。
ジンソクはカンベに翻訳を託して去っていく。
過去。幼いヨンシルが罰されている。不作(水不足?)を解除する装置を発明したが、そのせいで奴婢という卑しい立場で両班の子に恥をかかせたからだ。不作と身分の違いに苦しむ奴婢たちの現状が歌われる。
成長したヨンシルは飛行できる装置や望遠鏡を作って兄や友人たちに説明している。自分の発明で奴婢も夢を見て星に届くことができる世界を作りたいと。
世宗のもとに明の遣いイサンインが訪れ、朝鮮に対し物品や男女各千名などの貢物を納め、明の暦を使うことを求める。人を差し出せば田畑が荒れ、明と距離のある朝鮮が明の暦を使えば農作業をズレが生じる。同じ朝鮮人なのになぜ無慈悲なのか、と世宗はイサンインに問う。
イサンインは元々同じように明に差し出されていた朝鮮人で、自分を見捨てた弱い朝鮮を恨んでおり、出世の機会をくれた明の皇帝に忠誠を誓っている。
民の苦痛をどうにか取り除きたい世宗は朝鮮独自の暦を作るなどの科学の発展が必要と考え、明に知られないように身分を問わず優秀な人材を募るよう命令する。
兵判大監イ・アムは低い身分の者に力を与えるなんてとんでもないと考え、阻止を決意する。
ジンソクはカンベの紹介で、朝鮮時代の研究者マ教授にも連絡を取っており、教授はカンベとジンソクの元を訪れる。マ教授はその分野の権威的存在だったが、過去に不正の濡れ衣(?)を着せられ、カンベと共に学会を追放されていた。テレビマンから呼び出されたことで、また過去の騒動を掘り起こされるのではと警戒していたマ教授だったが、「朝鮮の科学がヨーロッパに影響を与えた」という説もまた強く疑い、踵を返そうとする。
しかし備忘録を見せられ、その主はチャンヨンシルかもしれないと聞かされて踏み止まる。王の側近の全てが記録されていた世宗時代に、確かに存在したのにある時を境にあらゆる痕跡が消えたチャンヨンシルという科学者。そして備忘録最後のページの韓服を着た男。ルーベンスの絵画に似たものがあるが、ルーベンスはチャンヨンシルより200年も後世の人。マ教授は、昔の画家は過去の偉大な絵を真似て習作したと説明し、ルーベンスも誰かの絵をまねた可能性が浮上する。また絵の韓服は朝鮮初期の装束だったことが説明される。3人の探求欲が俄然深まる。

過去。何かの発明によりヨンシルは奴婢の身分は脱しており、無人水時計の開発で両斑の地位を得て周りを楽させたいと考えている。発明を手伝うのは兄マンボクと、賢い一人の少年。
世宗が開催するコンテストでヨンシルは才能を認められ、遂に宮廷入りする。宮廷入りしてびっくり、一緒に発明品を作っていた少年は、少年に扮した世宗の娘の王女だった。ヨンシルの才能を確認するために世宗が遣わしていたのだ。
王女は父親と新しい文字を作るのだと話す。民が読みやすい文字を作ることで、ヨンシルが考えたことも広く伝えることができる。
ヨンシルは科学者として明に留学する機会を得る。自分の名前は知られて星になる、と前途を期待するヨンシルだったが、裏ではイ・アムが明でヨンシルを亡き者にしようと企む。発つ前にヨンシルはイ・アムの息子と揉め事を起こすが、元奴婢で明で出世したイサンインに助け舟を出される形で明に無事に渡る。
現代。キャンピングカーにエレナが訪ねてくる。エレナの苗字は「コレア」で、備忘録は自宅の地下室で見つけたという。チャンヨンシルが本当にイタリアにいたという可能性が強まる。
明に渡ったヨンシルはチョンファ大将に出会う。チョンファは航海士で、ヨンシルの天文学の才能を認めて懇意になり、世界の星の位置などがアラビア語の書物をもらって朝鮮に帰る。
朝鮮では世宗とチョンウィ姫に歓迎される。ヨンシルへの尊敬と憧れを歌う姫。
そこに明の使者イサンインが訪れ、蜜令を伝える。ヨンシルとその発明のせいで朝鮮が独自に発展することを恐れた明はヨンシルの発明品を破壊し、ヨンシルを4日以内に始末することを命じる。拒否すればハングル制作を手伝っていふチョンウィ姫の命が危ないと脅す。世宗は苦肉の策としてヨンシルに3日以内に新しい駕籠を作らせ、ヨンシルに関する記録は全て消し去るよう命じる。
数日後、ヨンシルが作った駕籠が「壊れ」、大王が倒れてしまった罪で棒叩きにされて捕えられている。そこに世宗が現れ、ヨンシルを船で朝鮮外に逃す手筈が整っていることを伝え、ノートを一冊手渡す。そこには制作中のハングルの使い方が記されており、そのノートに海外で見聞きし、学んだことを全て書き込んで帰ってこいと命じる。また新しくしつらえた韓服を着せてヨンシルを送り出す。朝鮮がヨンシルを必要としている時に、ヨンシルを守れずに失ってしまう無念を嘆く世宗。
船着場には兄マンボクが送り出しにきていたが、追手に捕まり殺されてしまう。朝鮮を追われ、兄を失った絶望の中でヨンシルは航海に出る。

<第二幕>
過去。ヨンシル、チョンファたちはやっとイタリアに到着する。5年間、あちこちに立ち寄りながら航海してきて、10隻あった船は2隻にまで減ってしまっていた。その間ヨンシルは朝鮮の暦の作成に尽力していた。
イタリアのパオラや科学者トスカネリとも懇意になり、ヨンシルの朝鮮の暦の計算方法をローマの暦に応用できないかなどを相談する。ローマの暦は誤差が年々大きくなっており、復活祭などの日程がどんどんずれていくことが悩みだった。
現代。ジンソクは取材でイタリアまで来ていたが、会う約束をしていたエレナが現れない。カンベもマ教授も音信不通になっていた。ジンソクの背後でエレナは謎の男たちにさらわれてしまう。
ジンソクは備忘録の解読から、朝鮮とヨーロッパに同時期に同じような発明や記録が見られることに気がつき、そのような共通点が見られる背景にチャンヨンシルがいるのではないかと、真実を突き止めようとしていた。
過去。ローマではヨンシルたちが新たに計算した暦を教皇庁に報告に出向くが、そこで教皇たちに対して地動説を説明してしまう。キリスト教では神が作った地こそ宇宙の中心であり、それは平である。ヨンシルたちの言説は許されないことであり、教会はヨンシルたちを処刑することにする。
だが捕まる直前に、教皇庁と対立するトスカネリの故郷フィレンツェに匿ってもらうことになる。またも命を狙われる身となって気を落とすヨンシルの前に、世宗の幻が現れてヨンシルは励まされる。
フィレンツェでヨンシルたちは幼きレオナルドダヴィンチに出会う。攻めてくる教皇庁に対して、ヨンシルが発明した火薬つき弓発射装置を使いフィレンツェの兵を犠牲にすることなく教皇庁を追い追い返すことができ、ヨンシルたちはフィレンツェの君主から国へ帰る航海の支援を得ることができた。
だが出発の時になって、ダヴィンチ少年にもっといろいろ教えてほしいと懇願され、また自分が生きていると明に知れれば周りの人々の命が危ないと考えたヨンシルは、ひとりフィレンツェに残ることにする。旅立つチョンファに一冊の備忘録を託すヨンシル。こんなこともあろうかと、これまでの発見や発明を記す際、ヨンシルは二冊のノートに同じ内容を記していた。
フィレンツェに残ったヨンシルは幼いダヴィンチと発明と研究の日々を送る。ダヴィンチ少年はヨンシルが遠い故郷に帰れるようにと、飛車の研究を続ける。
現代。帰国したジンソクがカンベのキャンピングカーを訪ねると備忘録の翻訳だけ残してカンベは姿を消してしまっていた。そしてジンソクは外交問題に発展しかねないことを理由にドキュメンタリーの中止をテレビ局から伝えられ、テレビ局から訴えられる(?)。
マ教授にも根拠のない収賄やセクハラの噂が立てられる嫌がらせをされる。どうやらカンベがいなくなっていたのも、備忘録の内容の重大さを知って、蒸発してしまっていたようだ。ジンソクたちが調べている事の重大さが重くのしかかってくる。
拉致からやっと解放されたエレナはヨンシルのキャンピングカーでジンソクと再会する。自分たちが追っていたチャン・ヨンシルはどうやら本当にイタリアに渡り、その地で発明や研究で多大な影響を及ぼしたらしい。それだけでなくヨンシルは当時フィレンツェにも行っているが、その時代のフィレンツェにはレオナルド・ダ・ヴィンチがいるではないか。
ダヴィンチの飛車の設計図、グーテンベルクの活版印刷、ローマの暦の修正、全てヨンシルの痕跡が朝鮮から消えた後に起きており、ヨンシルの影響があったのではないか。そうだとしたら、それはこれまでの学術、歴史、国家間関係の根幹を揺るがす衝撃的な新事実である。エレナとマ教授は学会で「ヨンシルは朝鮮からイタリアに渡ったダヴィンチの師匠説」を発表することにするが、学会員たちはもちろん取り合ってくれない。

過去。アトリエに座る年老いたヨンシルと成長したダヴィンチ。ダヴィンチは韓服を着たヨンシルの姿をキャンバスに描いている。それを見てヨンシルは、自分の備忘録の最後のページに同じ絵を書いてほしいと頼む。そして自分の生きつく先にいる星は、君だったのだなとダヴィンチに言う。ヨンシルは天寿を全うし、フィレンツェで客死する。
現代。フィレンツェに発つために空港にいるジンソクのもとに、カンベから電話がかかってくる。ジンソクはもう一度フィレンツェに行って真実を追求することにするとカンベに告げる。そして若き日のヨンシルがどこからともなく現れ、ヨンシルとカンベは心を通わせ合う。

🪐韓国版ダヴィンチコード
原作小説を読んでいないので、どの程度原作の要素が反映されているのか分からないけど、ミュージカルとしては相当作り込まれたストーリーになってると思う(ムーランルージュの直後に見ると余計w)。
今回チャン・ヨンシルという人物を初めて知って、天才と言えど東洋のいち宮廷人がダヴィンチを教えたという、発想というか恐らく本当に散らばっているであろう歴史のピースをつないで、こんな壮大なストーリーを作ったのがすごい!これが本当のことだったら相当ロマンがあるなぁ〜。
『韓服を着た男』の原作、ぜひ和訳してほしいです。
ダヴィンチ・コードとかでもダヴィンチは題材になっているし、ダヴィンチはそれだけ天才で、未だ謎に包まれた人ということなのでしような。ルネッサンスは中世から近代への過渡期というか、科学的な記録も増えてきたけどギリギリ謎に包まれてることもかなりある、みたいな時代だと思うので、謎が謎を呼びやすいのかもしれない。
ヨンシルが実験する時に着てる韓服版白衣がかわいい。それを着たウンソン氏が背が高いソンロク氏と並ぶと余計に笑 おままごとのお人形さんみたい、やってることガチなんだけどw
今回他の演目とこ兼ね合いで「韓服」は全然キャストを選べず、選べたら他のキャストを選んでたかもしれなかったけど見てみたらこのコンビで良かったなと今は思っています。
コウンソンさんは実直な雰囲気がヨンシルにぴったりで、ソンロクさんはノーブルながら人情味溢れる雰囲気がまさに世宗でした。フランケンほどでないにしても、コンビを楽しむ演目には間違いなさそう。
チェミンチョルさんが珍しく悪役じゃないのが意外だった、と思ったら前回見たメンフィスもだったか。どんだけ悪役のイメージなんだw 悪くない時のミンチョルさんの頼りになるオッパ感半端ないな。
ラストのヨンシルとジンソクが通じ合ってラストを迎える曲、最後に客席の天井全体にぶわーってプラネタリウムみたいに星が広がって、綺麗だったなぁ…。それをカーテンコールと退場の時間まで残しておくのもオツでした。

カーテンコールではフランケンシュタイン 方式で主役2人が残ってわちゃわちゃ帰っていくパターンだったけど、ウンソン氏がソンロク氏に「俺の背に乗りなよ」ってクイッと手で合図して、ソンロク氏のことをおんぶして帰っていきましたw 前日のカテコデーの写真を見たら、その日はソンロクがウンソンをおんぶしてたようなので、そのお返しだったのかな。飛車ごっこ、楽しそうでほほえましかったです。
今回字幕メガネをレンタルして観劇しました。
初演・初見・時代劇用語あり・科学用語あり・事前情報が限定的・ミステリーという、ゆる韓国語学習者殺しという内容だったので、とっても助かりました!具体的な使用感は別記事でまとめていますが、これがなかったらこのミュージカルの良さが半分も分かってなかったと思う。ありがとう字幕メガネ。
字幕メガネなしでもう一度くらい見たいところだけど、それは再演までのお預けかな。ひとまずリピートはしたいという気持ちは確かです。
以上!