浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

베어더뮤지컬 / ベアの色んな交差が憎い

 

 

★★★★★

 

・7月27日(土) 18:30

・ドゥサンアートセンター ヨンガンホー

・ピーター: 박정원(パク・ジョンウォン)

 ジェイソン: 한서원(ハン・ソウォン)

 アイビー: 조디아나(チョ・ディアナ)

 マット: 박산중(パク・サンチュン)

 ナディア: 장보람(チャン・ボラム)

 

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ベアのジェイソンだけはイケメンでないといけないと思っているので、可能なスケジュールの中で一番カッコよさげな役者さんにしました。その結果ちゃんとカースト上位系正統派イケメンでよかった。背も高くスラっとしててジェイソンにぴったりで、ビジュアルで役が決まるとか決まらないとかって役者の世界じゃ当たり前なんだろうけど酷だなぁと、自分がビジュアルで決めた事は棚に上げて思っておりました。

 

でもでもこの演目の肝は、「見た目には寄らずみんな色々な思いや秘密を抱えて生きているよ」ということですから。その前提を守るためには逆説的だけど、やはりジェイソンのビジュアル大事。

 

(自分をフォローしたつもりができなかった。)

 

ジェイソンとピーターって、スクールカーストでいうとジェイソンの方が圧倒的に上位なのに、2人の関係においては対等か、何ならピーターが少し主導権を握ってるくらいなのがいい。表向きの立場を、2人の間には持ち込んでいない感じ。その逆転現象が二人の関係にどう効いているのか……。

 

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ベアって何度見ても救えるようで救いのない話で、本当に救われない気持ちになる。最後の卒業式でピーターが「この愛はどうしてこうも複雑になってしまったんだろう」と歌うけど、本当に単体ならまだ解けたであろう小さな結び目が一度にたくさんできてしまった結果、到底解けない大きな毛玉になってジェイソンの心を覆ってしまったんだよね。その中の一つでも解けていたら他の潤滑油にもなったかもしれないけど、周りのみんなも自分のことに精一杯な状況がジェイソンに牙を剥いてしまった。

 

神父はもちろん対応を誤ってると思うけど、ピーターも頑固は頑固よなぁ。ピーターがカミングアウトすることを少しでも待てばまた違う結果だったがしれないのに。カミングアウトも、キリスト教の学校なら必ずしも受け入れられないのは分かりそうなことだけど、高校生だとそこまでは周りが見えないものなのかもなぁ。どちらも気持ちも大事にしたいけど、こういう場合のカミングアウトは自分だけの問題じゃないから複雑。

 

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ナディアは太った子として描かれることが多いみたいだけど、そうではなくてボーイッシュな女の子として描かれていました。制服もネクタイに短パン。ミッションスクールで逆の性別の装いをしているというのは、きっとそれ自体咎められることや反発に合うこともあるはずで、その点優等生なジェイソンの双子のきょうだいとして対照的で良い設定だなと思いました。

ナディア本人は自分の姿に劣等感を持っていて、ジェイソンに追いつくことは到底できないと思っているけど、実は自分らしさを表に出すことについてはジェイソンより一歩先を行けているんだよねえ。これもジェイソンの気詰まりを表すクロス現象と言えるのかな。

 

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この日はスペシャルカーテンコールデーで、役入れ替えでOne Kissが披露されました。アイビーの誕生日パーティーで、アイビーがジェイソンに迫る場面なのですが、配役がなんと、


ジェイソン役→マット俳優

アイビー役→ジェイソン俳優

マット役→ナディア俳優


と遊び心満載w

 

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しかも衣装は着替えたりせず、実際に演じている役の衣装のままなので、要はジェイソンがマットにお色気全開で迫っている光景でしたw

冒頭にナディアがジェイソンに追い払われるのですが、それを見たマットが「待って、置いていかないで…」とナディアに懇願してたのが面白かった。

 

そんなのお構いなしにほろ酔いでマットに迫るジェイソン。終始腰が引け気味のマット。本編では曲の最後にジェイソンはアイビーに押され負けて2人はキスするのですが、今回マットは「キスして」とジェイソンにキス顔で迫られるも、ちらっと客席を振り返り、「もーう、みんなが見てるじゃないっ!」とジェイソンの小突き、照れながらジェイソンの手を引いて、2人でキャッキャうふふと退場していきました。

 

そのまま暗転してお開きになったので、一瞬「何を見させられたんだろう?」と不思議な気持ちになりましたが、スペシャルカーテンコールのおかげで、ほっこりした気分で劇場を後にすることができてよかったです。

 

以上!

 

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