浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

베르사유의 장미 / ベルサイユのばらで涙腺のバスティーユも陥落

 

 

★★★★★★

 

・2024年7月28日(日) 15時

・忠武アートセンター

・オスカル: 옥주현(オク・ジュヒョン)

 アンドレ: 김성식(キム・ソンシク)

 ベルナール・シャトレ: 노윤(ノ・ユン)

 ポリニャック夫人: 박혜미(パク・ヘミ)

 

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🌹ベルばら原作読んだ人も読んでない人も、とりあえずあらすじ

違うところもあるけど、細かいところが結構原作に忠実だったりもする。


<一幕>

・オスカル誕生。赤子を見た父親は男子として育てることにする。

・オスカル近衛隊入隊日。オスカル登場。

・町では貴族に絡まれたロザリーを新聞記者ベルナール・シャトレが助け出す。

・悪徳貴族ドゲメネ公爵が物取りをした貧しい子どもを後ろから撃ち殺す。

・お金に困ったロザリーが売春を申し出た馬車にちょうど乗っていたのはオスカル。もうこんなことはしないように、とオスカルはロザリーにお金を手渡す。

・宮殿。子どもを撃ち殺した件でオスカルはドゲメネ公爵に決闘を申し込み、騒ぎを起こしたことで王妃から1ヶ月間の停職処分となる。それを伝えるのは王妃の寵愛を受けるポリニャック夫人。

・ポリニャック夫人がブイブイ言わせる歌。

・憤って町に繰り出すオスカルとアンドレ。入った酒場で黒騎士の話を聞く。黒騎士は貴族から盗んだものを売って貧しい人に与えているらしい。目的はどうであれ盗みは許せないと、オスカルは黒騎士を捕まえる決意をする。

・その酒場で平民と喧嘩したオスカル。「いざという時自害するために軍人が全員持たされている」という毒薬をアンドレに見せる。アンドレは酔って寝てしまったオスカルを見て、その毒をそっと自分の懐にしまい、オスカルをお姫様抱っこで連れ帰りながらオスカルへの憧れを歌う。

・オスカル父が、軍の銃200丁が何者かによって盗まれたという話をオスカルとジェローデルにする。黒騎士の仕業であることが示唆される。オスカルを口説いて怒られるジェローデル。

・オスカルは美しい薔薇とその棘にベルサイユと自分をなぞらえる。

・ロザリーがヴェルサイユに侵入したとして捕まっており、オスカルが事情を尋ねる。青いマントの貴婦人が乗る馬車が自分の母を轢き殺したので仇を打ちにきた。そして死ぬ間際に母は「あなたの実の母は貴族。名前はマルティーヌ・ガブリエル…」と言い残していた。オスカルはロザリーを手伝ってあげることにし、アンドレにマルティーヌ・ガブリエル探しを命じる。

セーヌ川のほとりを歩くベルナール。壮絶な生い立ちだったが、絶望には負けないと力強く歌う。

・ロザリーに剣を手解きするオスカル。ロザリーはオスカルに上着を取ってくるよう頼まれる。オスカルの部屋でオスカルの上着を抱いて、「オスカル様が女だったらいいのに」とオスカルへの憧れを歌うロザリー。

・オスカルは黒騎士を誘き出すために仮面舞踏会にドレスを着て出席する。ジェローデルとダンスし、愛を告白される。不覚にも女性としてときめいてしまうが、オスカルは自分を見つめ直し、自分の生きたいように生きると決心を固める。

・そんな時に黒騎士が現れてアンドレと対決。アンドレは目を負傷する。

・黒騎士を追ってベルナールたちのたまり場に現れるオスカルとアンドレ。正義とは何かについて熱い議論が戦わされる。

 

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<二幕>

・演劇を鑑賞している王妃、ポリニャック夫人、ドゥ・ゲメネ公爵。ポリニャック夫人の11歳の娘を公爵に嫁がせる話がまとまる。

・演劇にはオスカルが黒騎士に扮して登場し、民衆の苦境を王妃に伝えようとする。

・舞台装置がオスカルとアンドレのそばに落ちてくる。落ちてくる装置がアンドレに見えていなかったことにオスカルは気づき、アンドレの目が見えていないと知る。

・民衆を鼓舞するベルナール。

・オスカルが王妃の警護に当たっていると、フェルゼンが逢引きに現れる。パリの町では民衆の勢いが増している。

・銃の練習をしているロザリーのところにオスカルとアンドレが訪れ、そこに黒騎士が現れる。ロザリーが黒騎士を撃ち、正体はベルナールだと明らかになる。

アンドレの視力を奪った復讐をしようとするオスカルをアンドレが止め、「君のためなら目の一つくらいいつでもくれてやる」と言って去る。

・今まで当たり前にそばにいたアンドレの存在の大きさに気づくオスカル。

・ロザリーに手当てされるベルナール。貴族であるオスカルに相変わらず突っかかるが、「ここに住んでいるのもまた人間だ」とたしなめられる。

・オスカルはベルナールと取引しなければならないと言う。黒騎士には目を瞑る代わりに、ベルナールたちが軍からくすねた銃200丁の代金を支払うようにと。

・幼い頃から一緒に過ごしてきたオスカルの燦々とした姿を讃えるアンドレ。舞台は宮殿の舞踏会へ。

・ロザリーの母を探すために訪れた宮殿の舞踏会。オスカルは王妃とのダンス中、王妃に何か囁く。王妃はそれが原因で退出してしまう。

・ロザリーは母の仇のポリニャック夫人と遭遇。同時に彼女が実の母であることも明かされる。

・ドゲメネ公爵との結婚を嫌がっていたシャルロットは投身自殺。娘の亡骸を見てもなお自分の野望を捨てないポリニャック夫人。

・ベルナールとロザリーの出立。

・軍人を辞めると王妃に話したことに対してオスカルの父激怒。オスカルを結婚させるため舞踏会を開くと宣言し、アンドレにはオスカルのそばを離れないよう命じる。アンドレの目が不自由なことがアンドレ祖母に知られてしまう。

・衛兵隊長に志願したところ衛兵隊に捕まってしまうオスカル。と思いきや全員をボコって自分に従わせる。

・オスカルの求婚者を募る舞踏会だが、オスカルは衛兵隊を連れてきて求婚者たちを追い出す。唯一残ったジェローデルがアンドレに声をかける。

・幼い頃にオスカルと決闘した思い出を話すジェローデル。「私がオスカルと結婚したら、妻を慕う者としてお前をそばに置いてあげてもいいぞ」とアンドレに言い放ち、憤るアンドレ

・オスカルがジェローデルと結婚してしまうと絶望したアンドレはワインに毒薬を入れて飲もうとするが、すんでのところで誰とも結婚する意思はないというオスカルを聞き、自殺を思いとどまる。

・どんどん高まる革命の気運。市民に銃を向けることはできないと上官に逆らうオスカル。生きたいと思える世の中にするため、地位を捨てて民衆のために戦うと宣言する。

・ジェローデル率いる近衛隊がやってくるが、「私を打つなら打ってみろ、私の死体を越えてゆけ」と立ち向かうオスカルを前に、ジェローデルは退陣を命じる。これが自分の覚悟だと。

・オスカルとアンドレは民衆と共に戦いに臨むが、アンドレが銃弾に倒れる。「なぜ目が見えないのに着いてきた」とアンドレを抱き上げるオスカルに対し、「怪我はないか」と心配しながら息を引き取るアンドレ。慟哭するオスカル。

アンドレの死に沈むオスカルだったが、もう一度立ち上がってバスティーユへ兵を率いる決意をする。自分の生きたい世界を作るために。

・撃たれるオスカル。瀕死の中、バスティーユが陥落したと知る。「私は後悔なく生きることができた」と言い残して絶命する。ベルナールに抱えられ、ロザリーに付き添われ、オスカルを迎えにくるように現れたアンドレとともに消えていく。

 

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🌹原作のコンテンツ力×韓国ミュージカルの底力

 

華麗で美しくて歌に飲まれて愛に圧倒される作品でした。号泣した。ありがとうベルばら。ありがとう池田先生。ありがとうEMK。メルシー!メルシー!

 

やはり初演はオク様だろうということで、オク様の日を決め打ちしたけど、プレコを見たら他のオスカルたちもすごく良さそう。特にチョン・ユジさんの溢れる若さと瑞々しさ、2次元のようなスタイルの良さとハリのある声がオスカルのイメージにぴったりで、そちらにすればよかったかなと一瞬思ったほど。

 

でもひとまずはオク様で見てよかったよう。やはりオク様。さすがオク様。フレッシュさは確かにあまりないけど、高貴で思慮深く繊細なオスカルをやらせたら右に出る者はいまい。細かいところまで作り込まれていて、感情を歌に乗せる様子がどのシーンでも素晴らしい。常に気高くて、アンドレが「ペガサスやオリンポスの太陽のよう」と讃えるのも納得。

 

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アンドレに「君のためなら目の一つや二つ…」と言われてアンドレの存在の大きさに気がつく場面の曲、当たり前に隣にいるアンドレがいなくなってしまったらどうしよう…と初めて想像すると思うのですが、なんかもうここから既に愛と美が溢れすぎてて泣けた。

 

オスカルのアンドレへの想いももちろんですが、この物語で一番の悲恋はやっぱりアンドレのオスカルへの愛だと思うの。見返りを求めないし、求められない愛。それをキムソンシク氏は全編を通して、時には軽快に、時には思いつめて表現していて、全身全霊からアンドレを感じました。

 

キムソンシク氏は前回レミゼで見たアンジョルラスが良くて気になってたから、アンドレにキャスティングされたと知って嬉しかった。太めのめちゃくちゃいい声で、すらっとしているので精悍な青年役がぴったり。オクスカルが姉御肌だから、それを慕う弟分的なアンドレなんだけど、それが眠るオスカルをお姫様抱っこしながらも難なく朗々と歌ったりしていて、ギャップ萌え。

 

「毒杯」でアンドレが歌う絶望めいた愛の歌も切なすぎて泣いた。ここまで無私に人に愛を捧げることができるのかと。何度も言うがキムソンシク氏の声が良すぎる。

 

そして撃たれて死に瀕しても「怪我はないか?」とオスカルを気遣うアンドレ。涙。目が見えなくても「全てを捧げてオスカルを守る」という決意を完遂したのね。「毒杯」で歌われた思いがここで効いてきて、また涙…この時のオスカルの慟哭にも胸が締めつけられました。

 

劇中何度もオスカルが「アンドレ、準備はいいか?」とアンドレに聞くのですが、アンドレが死んだ次の戦いに臨む時にオスカルが隣に向かって「アンドレ、準備はいいか?」と無意識に聞いていて、またまた涙。アンドレが隣にいないオスカルは見ててもどこか物足りない。どこを取っても完璧なオスカル、実はアンドレがいたからこそ、そうであれたんだと思います。

 

オスカルの最期のシーンも畳み掛けてくるようにこれでもかと泣かせる演出が満載で、私の涙腺のバスティーユも無事に陥落しました。「私は後悔なく生きた」というオスカルの言葉を聞いて、本当によかった、私もそう思えるように後悔なく生きようという決意を新たにしました。

 

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正直オスカルが実際に地位を捨てて民衆側に立ってからの展開が結構速くて、あれよあれよという間に蜂起に蜂起が続いてアンドレもオスカルもバタバタ死んでしまうのですが、それもそれで大きな時代の波に飲み込まれていく人間のちっぽけさが表れているのかなと思いました。

フランス革命のような激動はなかなか経験しないことだろうから、当時の人々がそれをどう生きたかは、こういう作品を見ると常々気になるところ。

 

結局はオスカルとアンドレが主軸ではあるのですが、途中まではベルナールの方がアンドレよりも存在感が大きいのではという活躍ぶり。

 

しかもノユンベルナールめちゃめちゃかっこいい。色気。ちゃんと漫画のキャラって感じ。いやなんなら漫画より色気。それでいて太くて渋い声。色気。長めの髪型もいい。

どっかの段階でシャツの腕まくりしてるのもかっこいい。筋トレしてる人の前腕してる。とか思ってたら不意打ち上裸大サービス!メルシー!メルシー!一瞬でシャツ着ちゃったけど、黒いシャツ着て前がはだけてるのもかっこいい。

途中でロザリーとお屋敷を出ていっちゃって、もう見ることが減るのかと思いきや、ばっちり最後まで出ています。オスカルの最期まで。鳴呼おお鳴呼また涙が。

 

マリーアントワネットは一言も発しないけど、それは物語をまとめる上では仕方ないのかなと思ったり、その反面ポリニャック夫人やロザリーにはそこそこの場面が割かれていて、いい塩梅だったのかなと思います。

 

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原作を最後に読んだのは1年半ぐらい前かな、まだ記憶が新しかったので特に読み返さずに行きましたが、やはり原作を読んだほうが楽しめるしエモい作品だなと思います。私はこれを見てから、原作を(古本じゃないぴかぴかのやつで)速攻買い直しました。グッズも普段買わないのに、今回はマグネットを買ってしまった。恐るべし、ベルばらの世界観。また見にいきたい。

 

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以上!

 

 

 

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