浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

헤드윅 / ヘドウィグでいい男と、いい女と、いいドラァグに出会ってジャンピン!!

 

 

★★★★★

・2016年4月16日20:30
・弘大アートセンター(テハンロ)
・ヘドウィグ:정문성(チョン・ムンソン)
  イツァーク:제이민(J-Min)

 


終演後の感想。楽しかった〜〜っ!!オニ楽しかった。

 

★言葉が分からなくても(大体)大丈夫!演出の妙と盛り上がりでカバー!


ヘドウィグの独白が大半を占めるこの作品、言ってることほとんど分からなかったけど(分かったのは動作つきのえげつない下ネタのみ)、台詞が続くようなところでもヘドウィグが魅せてくれて、全く飽きなかった。
うりヘドウィグは顔が整ってて、美脚で、きれかわ系。ロングヘアを片側に流した髪型の時なんかはセクシーだった。ドレスの背中のチャックが閉まらなくてぱっくり開いてたのはご愛嬌ポイント。
演出もいちいち凝っていた。バックスクリーンがコロコロ変わって、一応何を話題にしてるのかは検討がつくしカメラマンや舞台設置のカメラ映像が生中継よろしくスクリーンに映し出されたり、セットや照明周りも豪華で目を楽しませる工夫がたくさんあった。途中、あまり動きがないヘドウィグの語り部分は少し眠くなっちゃったけど・・・。

印象的だったのは、ヘドウィグと観客とのインタラクションが多かったこと。基本的には常にこちらに語りかけてくるんだけど、衣装やウィッグ変える度に

「ワタシかわいい?」

とかって。反応が小さいと

「もうっ!似合ってないなら正直にそう言いなさいよんっ!!」

って怒るからみんな頑張って声出す。笑
あとはお約束の観客個別絡み。顔面股間スウィングはもちろん、なんと口いっぱいに含んだ水を、客席の肘掛に立った高さからターゲットの頭上にドボドボドボ!!すげーこういうのって欧米だけだと思ってたら韓国でもやるんやー。さすがにイツァークがタオルあげてたけど、拭いてるのを見てヘドウィグ「あらアンタなんで濡れてるの?」w

個人的には客のメガネ舐めるのってもやってほしかったな。笑

そして驚いたのは、Midnight Radioの손을 들어〜(英語だとlift up your handsって連呼するところ)に至った時、突然他のお客さんたちがパパパッと片手を挙げだした!!

なになにそういうもん!?

当たり前みたいに手ぇ挙げちゃって、みんなすげーリピーターじゃん!!

と驚きつつ、私たちもいっちょまえに挙手☆

客席全員でヘドウィグに向かってハイルヒトラー状態。

 

隣の席の人が若干、挙動不審ボーイで、上演中に一人でヘドウィグの台詞をごにょごにょ繰り返して、一人でふんふん頷いたりウケたりしてたんだが、彼はこの時バッと両腕を挙げてたよね。

きっと悪い人ではないと思うんだけど。むしろ前方ど真ん中に一人で座って、「ここのアドリブはこう来たか。ぐふっ」っていちいち反応してたあたり、ヘドウィグ的にはかなりの有識者と思われる。きっとヘドウィグ大好きなんだろうな。ぐふっ。

 

全体的に、本当にヘドウィグのコンサートに来てる!!って感じだったけど、終盤のぐちゃぐちゃになる部分はちょっと置いてかれる感じ?でもそれはヘドウィグのぐちゃぐちゃした部分(ボキャ貧)が発露した場面だから、仕方ないのか。いきなりヅラ剥いで、衣装脱いで、パンツ一丁で胸に入れてたトマトを頭上で絞りだしたからね。ついていけたら逆にすごいわ。

でもね脱いだら、あら美しい細マッチョ!個人的にはもう少しムキムキなトルソーが好きだけど(聞いてない)、「脱いだヘドウィグ」としては申し分なし。

顔もメイク濃いめの大沢たかおだったから、全体としては、いい男。トマト汁滴る、いい男。格好もパンツ靴下ならぬ、パンツブーツだったけど、いい男。ひと作品で、キレかわ系からいい男まで見せてくれるなんて!やるじゃないムンソン!ソロンゴばかりやってる場合じゃないわよ!

しかしよく考えると、パンツブーツ男(〜トマト汁を添えて〜)が、紫のウィッグを持ったヒゲづら女子を抱きしめてる図って、結構すごいわよね。

 

★逸材J-Minを発見!


当のヒゲづら女子・イツァークは、びっくりするくらい歌がfitしていてうまかった。

J-Min女史、男装していると言えども、小柄で華奢なのがよく分かる役者なのだが、体型からは想像出来ない力強いロックな声!なんて言うんでしょうね、会社によくある1cmとかの幅広のゴムを引っ張る時のような、コシも伸びもある声でした(分かりにくい)。

実は予習時につべで動画見た時は、ふわふわ系のポップソングしか見つからなかったから、あまり期待してなかったんだけど、見事に裏切られ、今後も注目したい人物に。ヘドウィグの次はこれまたロックなAll Shook Upに出るようなので期待。他のイツァークもきっとうまいんだろうな。こういうところハズさずにきっちり押さえてるのがハンミュのいいところ。
ところで、途中でイツァークがCreep歌ってたんだけど、これって別にヘドウィグの曲ではないよね?自由選曲なのかな。何にしろ好きな曲だから、嬉しかった。

 

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★アンコールがもはやアンコールじゃない!


そして本公演極めつけはアンコール!!

Tear Me Down, Sugar Lady, Angry Inch, Wig in a BoxやExquisite Corpseもあったかな、とにかくノリノリ系の曲を軒並み大熱唱の大サービス!

観客は総立ちどころかこぶしをぶんぶん振ってジャンピン!!

もちろんわたくしどもも!!

テハンロの劇場は完全にロックコンサート会場と化した!!

隣の変人くんはなぜかお茶のペットボトルを持ったまま狂喜乱舞しており、振りすぎで中身がクリーミーに…!!


何はともあれ、このアンコールの楽しさが本ヘドウィグの総合評価をあげたのは間違いない。こういうコンサート行ったことなかったから、思わぬところで体験できてゆっぴー!
ヘドウィグはこの時パンツxブーツx公演Tシャツ、というルックスだったけど、ペットボトルの水をじゃばじゃば被ったかと思えば、Tシャツを脱いで、客席に投げたーっ!

水被ったのは遠くに飛ばすためだったのかーっ!

そのTシャツは私たちのすぐ後ろの人が受けとめたが、ヘドウィグの汗と、涙と、水と、もしかしたらトマト汁でぐっしょりのTシャツを、複雑な顔でとりあえず床に置いてた。笑 そういえば公演中にも自分の顔拭いたハンカチ投げてたな。笑


そんなこんなで今までに類を見ない充実したジャンピングアンコールに汗だくになり、良作を見た満足感と程よい疲労感に包まれたヘドウィグ初体験でした。


★〜ちょっと考えたのだが〜

「ヘドウィグ」ってその主人公の通り、男と女どちらでもないというか、振れ幅のある性自認というか、そういう概念(?)をテーマにした作品でいいんですよね?

だからイツァークもヘドウィグの「旦那」としつつ性を確定しないために女性が演じてるんだってどこか(wiki?)で読んだんだけど、最終的にはヘドウィグは男に、イツァークは女に戻るというか、男女どちらかとして生きることに帰着するんですよね?それって良いのかね?
いや現実では、何をどう選択するしないはもちろん各々の自由なんだけど、このストーリーの文脈の中でその選択肢って、テーマと逆じゃない?もっと言えば時代の潮流に逆行しない?


ヘドウィグみたいな作品が、実は

性的多様性を認めているように見えて、本当はすごい遠回りしながら伝統的なジェンダーの価値観を推進する保守派の隠れプロパガンダ作品」

だったらそれはそれでとても興味深いんだが、そうとも思えないので、私の理解が間違ってるのかな。この辺は細かい台詞が分からないといけないのかもしれない。

 

<後日追記>

と思ってたら、最後にイツァークがなるのは女性じゃなくてドラァグだったのね!だったら保守派プロパガンダではないね!

でもそれあの衣装じゃわからなかったわ!ドラァグというより、お姫様みたいな格好だったから!

そう考えると、女性がドラァグに見えるようにするのって結構大変ね。どんなに頑張ってもレディ・ガガとかエイミー・ワインハウスくらいにしか見えなさそうだもの。

海外版はどんな感じになってるのか、今度思い出したら見てみよう(絶対見ないやつ

 


以上!