浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

일테노레 / イルテノーレでオペラ歌手の誕生と名作の誕生に涙する

 

 

★★★★★

 


・2024年2月25日(日) 14時

・芸術の殿堂 CJトウォル劇場

・ユン・イソン: 서경수 (ソ・ギョンス)

 ソ・ジニョン: 박지연 (パク・ジヨン)

 イ・スハン: 전재홍 (チョン・ジェホン)

 

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また韓国の創作ミュージカルに名作が生まれてしまった。その初演に立ち会えて心から良かった。

 


🤵🏻元祖マイ推しの成長ストーリーでもある

 

評判良かったので千秋楽に滑り込み(と思ったら延長されたw)。グァンホ・ウンテももちろん気になったけど、チケット取れなかったりスケジュール合わなかったりで初心に戻りソ・ギョンス。

 

私はあまり俳優個人を強く推すことはないので、個人的な思いを抱くことも少ないんだけど…ソギョンスは私がハンミュ沼落ちした原因になった張本人で、2016年に初めての韓国ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」を見た時にその歌声と長身と筋肉に魅せられて、韓国に通うようになったのでした。インザハイツではベニーをやっていて、それがいまやグァンホやウンテと並ぶほどに!二人に比べたら人気やチケットパワーはまだまだかもしれないけど、韓国ミュージカルに引き込んでくれた人が着実に成長していて嬉しいし感慨深いな〜と本作のキャストが発表された時は思ったのでした。

 

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それでも今回本作を見ることになって、ベテランがやるような役を本当にこなせるのか?微塵ほどの心配の気持ちはあったけど、本当に見事に演じ切っていたし、ソギョンスでこそこの作品を見ることができてよかったなと思いました。

 

他キャストは見てないから想像だけど、一番若かったから、等身大の若々しいイソンが見られたのではないかと思う。夢中になれるものを見つけてどんどんのめり込んでいく姿が、見ていてこちらまで心踊るし、微笑ましかった。好きなものが見つかるって本当に幸せなことだし、どんどんハマっていく時の興奮やときめきは何物にも変えがたい。

 

ソギョンスはミュージカル俳優しかいないミュージカル系の授賞式とかの場でも「ミュージカルが大好きなソ・ギョンスです」って自己紹介しちゃうくらい、本人もミュージカルが大好きみたいだから、きっとミュージカルと出会った時もこんな感じだったんだろうなと勝手に想像したり。成長過程がリアルに感じられたし、体が大きいだけに内向的な部分は逆に際立ち、他方で舞台に立つ場面では舞台映えして、オペラ歌手になるべくして生まれたイソンの天性を感じることができた。ソギョンスがいるイルテノーレ、私にとっては完璧だった。

 

そりゃああの曲たちをグァンホでも聞きたかったけどさ!というかグァンホはいつ何時も聞きたいんだけど。でも最初の方にイソンが「歌ってみたら案外うまいじゃん!」ってなるくだり、グァンホなら純粋に「いやもっと早く気づいてるだろ普通!!」ってなりそう。笑

 

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🤵🏻幕間にハンカチのご準備を

 

しばらくは、イソンがオペラに出会って、仲間と出会って、大切な人もできて、みんなで試行錯誤しながら舞台作りに励んで…と、独立運動の怪しい雲行きはありつつも、明るい雰囲気なんだけど、オペラ舞台本番の感情ジェットコースターがすんごい。涙もジェットコースター。

 

イソンがカマキ暗殺計画を知ってジニョンに詰め寄り、独立運動への想いも分かりつつも、一生懸命作り上げてきた舞台壊さないでくれと訴えるあたりから涙腺がもうダメだったんだけど、その後イソンが決死の覚悟で舞台上からジニョンに向かって全身全霊で歌う曲は、その後の結末を知っていても全私が泣いた。

 

親に縁を切られてまでオペラにのめり込んで、苦労を乗り越えて作り上げた舞台。暗殺計画のために全編を通すことができないなら、せめてフィナーレを歌ってから終わらせたいという思いと、最期にジニョンに愛していたと伝えたい想いと…。「君が僕の始まりであり、終わりでもある」という歌詞、この場のことにとどまらず、その後のイソンの人生が終わる時のことまでも示唆していて、二人の全てが詰まっているなと思いました。声を詰まらせるのを我慢しながら、ジニョンを見つめて声を張り上げて歌うイソンの姿が脳裏から離れません。

 

結果としてジニョンは、最期にイソンのこの歌を聴くことができて幸せだったんじゃないかな。そして老いたイソンが最後に歌う『夢の重さ』も、締め括りにふさわしい、切なくも力強く美しい旋律で戦慄しっぱなしでした(ダジャレで感動台無し

 

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ジニョン役のパクジヨンさん、何気にお初。低めの声で、ジニョンのような芯の強い役がすごく似合っていたので、レベッカの「私」とかやってる姿があまり想像できない。小さい体からよくあんな力強い声が出るなぁ。序盤はだいぶ高圧的なキャラクターだったけど、イソンに出会って丸くなったのかな?凛としたジニョンですごく良かった。

 

スハン役のチョン・ジェホンさんもすごくいい低い声で、イケメンだった。男子高生にしてはだいぶ渋くて、学ランより革ジャンの方が圧倒的に似合ってたけど笑

 

アンサンブルもいつも以上に上手な人ばかりで、声楽が得意な人が集められていた印象。キャラクターもそれぞれ個性的で、ピアニストと語学が得意な子の恋があったりしてちょこちょこ笑えます。ベイカー先生も可愛らしかったし。ベイカー先生のルー語は何気に助かった。

 

イソンがオペラの練習室に入った時のベイカー先生と女学生たち、ぎこちないイソンとのわちゃわちゃした掛け合いは可愛すぎてずっと見ていたかった!あとイソンがピアノを弾きながら、ジニョンと「このオペラのここが好き、あそこが好き」ってやってる時。顔が近づきすぎたことに照れて楽譜遠くにぶん投げるイソンww ここ、楽譜を拾いながら二人でわちゃわちゃしてる時にパクジヨンさんが素で爆笑しちゃってセリフ続けられなくなってた。笑

 

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久しぶりの芸術の殿堂だったけど、CJトウォル劇場はサイズ感がちょうど良くて、舞台との一体感を感じることができますね。『イル・テノーレ』、派手さはないけどストーリーの完成度は高いし、美しい曲ばかりだし、泣けるし笑えるし、初演に立ち会えたことが自慢できる作品でしたありがとう。

 

以上!

 

 

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