浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

프랑켄슈타인 / フランケンシュタインで偉大なるハンミュ創造の歴史が始まったなぁ

 

 

★★★★★

 

・2018年8月10日(金)20時

・ブルースクエア

・ビクター:전동석(チョン・ドンソク)

 アンリ:한지상(ハン・チサン)

 エレン:박혜나(パク・ヘナ)

 ジュリア:이지혜(イ・ジヘ)

 

 

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🐲どこを切っても至高の金太郎あめキャスト

 

こんな人気作なのに、2年前の上演ではなぜかピンと来ず、見逃していたのでした。が、見る前から既に滞在中2回は見たいと思うくらいでした。結局見れてないけど。

 

さて、全体的にスター揃いのフランケンキャストですが。今回のメイン4役も神キャスティング。特に女性陣は、他のキャストは未経験なので、よく知ってる&激うまなこの2人というのは大きな安心感がありました。

 

ビクターとアンリはキャスト選び、すご~く迷いました。が、他の演目のキャスティングとの兼ね合いもあって、ドンチサに決定。リュ様も見たかったし、カイ氏もまだ見たことがなくて見たいし、パクミンソンもプレコで見た肉体美に魅了されたのでぜひ拝見したかった。パクウンテ氏はすでにマディソン郡に合流していたのでフランケンは上がっていました。

 

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ということでドンビクター。端正な顔立ちで粛々と実験にいそしむ姿が、サイコパスっぽくてよいです。さらにプレコで号泣しているミンビクターを見ていたので、大して泣いていないドンビクターを見て「そんなに悲しんでなくね?」と不思議に思いました。ドンビクター、まさか本当にアンリで実験したいだけなんじゃ…。

その代わり『偉大なる生命創造の歴史が始まる』では、周囲の批判をよそに友人の首まで犠牲にした一大実験だから、意地でも成功させなくてはいけないという切実さやプライドが伝わってきました。ドンビクはこの曲中、妙にノリノリで、別にシャウトしなくていいところでもシャウトしてたw ドンソク氏、シャウトできるんだなぁ。1幕の最後も大シャウトで締めくくっておりました。

低音もきれいに出るし、声は良く通るし、背高いし、スタイルいいし、超ロングコートが超似合うし、顔かっこいいし、ジャックのオカマ風メイクもきれいだし、欠点ないんですか王子ですか。もしかして筋肉もありますか。脱いでくれませんか。

あ、でもドンソク氏、もしやと思うがダンス音痴?笑 酒場のシーン、ハンチサンは綺麗にこなしてるのに比べて、ドンソク氏は微妙にぎこちなかったようなw 酔ってる演技だったからか?でもそれくらいが、完璧王子のキュートな不得手でいいと思います。ルドルフでドンソク氏の魅力を発見し、今回フランケンシュタインで私の中での地位が確立しました。今度はもっとセクシーな役でも見たいです。色気を見せておくれ。

 

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ハンチサン氏は、ハンミュにハマり始めたかなり初期から知ってはいるものの、なかなかお目にかかる機会に恵まれず、今回初めて。情感豊かな、きれいな声の俳優さん。腹筋の形がおもしろい(どこ見てるんだ)。

チサンアンリは、あまり悲しそうではないドンビクとは対照的にというか、その分というか、死ぬのが嫌で怖くて仕方ないという感じがしました。ずっと泣いてるし、断頭台に上る階段では腰を抜かして座り込んじゃうし。最後の「サルゴシッポー」の直前でも、歌い出す前に両手で顔を覆って泣いてました。ビクターを助けるということと天秤にかけた結果、自分が罪を被ることを選んだのだろうけど、毅然と処刑を受け入れることはできず、本当は生きて一緒に研究を進めることに未練ありまくりだったと思います。あんなに未練を抱いて死んだのに、怪物にはアンリの記憶が全く残っていないのも、また切ない。

他のアンリを見ていないので、あまり比べられないのですが、「今朝から言葉が話せるんだよね」の言い方が、なんだか降って湧いてきたんだよねみたいな言い方で、おもしろかった。あと『僕は怪物』ではカトリーヌに教えてもらった「アンニョン」の手ふりふりを泣きながら何度も繰り返していて、哀れさが増してた。カトリーヌに裏切られるくだりが、一番可哀想な場面だと思う。

 

エレン/カトリーヌのイ・ジヘさん、ファントムのクリスティーヌみたいな綺麗な姫系のイメージが強かったので、カトリーヌのドロドロ・ボロボロルックスが新鮮でした。あんな汚い格好してるの初めて見た。w あと『生きるということ』では「こんな低い音も出せるんだ!」という発見もありました。高音を得意にして低音が出ない女優さんもいるので。

 

そしてそして、パクへナさん!!エレンもよかったけど、歌の魅力はエヴァの時に圧倒的に発現しています。『男の世界』では最初の数ワードでスパーンと歌唱力大魔神が出現しております。エヴァはいわばサブ役だけど、この瞬間舞台は彼女の独壇場。サブ曲をサブ曲に留め置かず、主要な見せ場の一つに仕立て上げていました。

というかパクへナさん、笑った顔も愛嬌あってかわいすぎ。ジャックとの掛け合いがノリノリで、終始2人で向かい合って「ウェーイ♪」と肩をふりふり揺すってましたかわいい。変人同士だけど仲いい夫婦っぽかった。

 

 

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🐲色んなワールドが垣間見える

 

原作小説はよく知らないのだけど、ミュージカルとしては、すごくできた作品よね。役名のあるキャスト全員が一人二役って。ビクターとジュリアの関係を、闘技場でもパラレルワールドっぽく反映すべく、ジャックとカトリーヌを絡ませてもいいんじゃないかな?カトリーヌに折檻するのが、ジャックとか。あっちのパラレルワールドでは愛し合う夫婦だけど、こっちではいたぶる関係。カトリーヌの悲壮感増しそうでいいんじゃないでしょうか?(どエス

 

フランケンのそれ以外の魅力としては、やはり素晴らしい筋肉が拝めるということを記しておきたいと思います。怪物はもちろんですが、アンサンブルの美筋レベル高しです。ハイレベル美筋揃いです。ご存じの通りビクターの実験室(『唯一つの未来』)や闘技場など、見どころもたくさんあります。その鍛えられ方もピカイチで、理科の授業に一人お呼びして、「ここが大円筋、ここが僧帽筋」と、見てお勉強に使えるくらいくっきりでした。そういう授業だったら、私も理系になっていたかもしれない。

 

今回の子役の男の子、歌うまかったな。子役にはいつもあまり期待してないけど、棒読みでも棒歌いでもなく、ちゃんと芝居してました。

 

最後の北極シーンではステージが坂のようになっていますが、絶望したドンビクが腹這いで坂を上から下に滑っている姿はペンギンさながらであった。さすがに本人もこれではピングーになると思ったのか、長い手脚をちょっとバタバタさせていたが。

 

 

以上!