浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

더 라스트 기스 / ザ・ラスト・キスから「ルドルフ」が取れたワケを誰か教えてくれ

 

 

★★★★★

 

・2018年2月17日(金)18時

・LGアートセンター

・ルドルフ:정동석(チョン・ドンソク)

 マリー:루나(f(x)ルナ)

 ターフェ:김준현(キム・ジュンヒョン)

 ラリッシュ:신영숙(シン・ヨンスク)

 ステファニー:전수미(チョン・スミ)

 

 

この日は旧正月の連休中だったからか、1階も8割くらいしか埋まってなかったし、客層もいつものミュージカルファンというよりは「お正月だから家族で来ました」みたいな人が多くて、いまいち盛り上がりに欠けていたのでした。少し気の毒。

 

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❄キラキラヘタレ王子ルドルフ

 

本作、実はカイ氏で見たいと思っていた。生ではまだ見たことがなくて、でも朗々と歌う感じが好きで、ワイルドホーンの曲にはぴったりじゃないかと思ってたのよね。でもスケジュールが合わなかったので、チョン・ドンソク氏に。

ドンソク氏は評判いいのは知ってたけど、動画見てみたら結構ふつー!歌い方ふつー!うまいけどふつー!と思ってしまい、正直そこまで期待していませんでしたごめんなさい。

 

が!

 

良かったと思います。私は好きだった。聞いてて気持ちのいい声の出方、高身長、端正な顔立ち。低音ボイスの綺麗な王子様。マリーといる時とか、演説してる時は本当にキラキラしていて、私もこんなかっこよくて綺麗で歌うまな王子様に出会いたいー!とそわそわしてしまいました。

が、そんなキラキラ王子の反面、結構なヘタレでもあるルドルフ。すぐお酒に逃げるし、娼館に通うし、自己肯定感も低め。複雑な環境で人格形成がうまくいかなかったのか、もともとそういう気があるのか、またもやその両方なのか、いつも情緒不安定で、すぐ落ち込むしすぐ突っ走る。躁鬱なのかな。

 

 

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と思いはしたものの、ドンドルフには キラキラ王子⇔ヘタレ王子 の落差をもっと鮮明にしてほしかった!キラキラ王子は申し分ないんだけど、ヘタレ王子を通り越してクズ王子になるくらい、もっと堕ちてほしかった。

ヘタレな程度だと、策略失敗して自殺、っていうのが飛躍して見えて、あまり納得感がないというか、「国外追放になったならマリーと二人で暮らせるし、逆にラッキーじゃん」と思ってしまう。そしてそう思った途端、一気に二人の心中を冷めた目で見てしまう。笑

やっぱり心中はさ、のっぴきならない状況じゃないと思いつかないし、見てる方も感情移入できないと思うわけよね。クズなメンタリティに観客を引き込んで、「あーもうこいつならクズヘタレすぎて死ぬしかないわな。でも死ぬの怖くてマリーのこと道連れにするのかなぁ」と思わせるくらい、堕ちてほしかった。マリーも、そんなダメ男に対する恋?愛?という熱に浮かされて心中するくらいにね。相手の男がダメなほど燃える場合って多分あるでしょ。私はないけどね(知らん

ということでルドルフよ、クズであれ。

 

これは演じ方とか関係ないけど、ルドルフって計画してる陰謀の重大さのわりに、ツメが甘いよねーーー。勢いと反発だけというか、やろうとしてること分かってんの?と思っちゃう。普通もっと周到にやるだろって思うのは、韓国ドラマの見すぎかしら。これはこれでいいヘタレエピソードなんだけれども。

 

 

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❄今後もウォッチしたい俳優陣

 

ルナっち、声が綺麗で歌もうまかったよ~。インザハイツよりも歌の難易度もぐんと上がってるのに、美しく歌い上げていたし、抑揚のつけ方もうまい。声量もちゃんとあって、二幕のターフェとのバトルソングWenn das Schicksal Dich ereilt (The Writing’s On The Wall)でも、本気のキム・ジュンヒョンターフェと互角に張り合えていた!

ルナマリーは小柄だけどどこか大人っぽくて、お転婆娘というよりは溌剌としたお姉さんって感じだったけど、これからはポストキム・ボギョン的なポジション(褒めすぎ?)で、色んな役を務めていくんじゃないかと思いました。ところでキム・ボギョンさんはお元気かしら。赤ちゃん元気に生まれたかしら。

キュートな愛らしさで言ったら、キム・ソヒャンのマリーがとても良さそう。彼女も見たかったな。笑った顔が可愛くて好き。

 

ステファニー妃の持ち歌 Du bleist bei mir! がかなり好きなのですが、あれは懇願するのではなく、もっと高圧的に歌ってほしかった。いくらルドルフの愛を得られなくて悲観的になっていても、ルドルフに対しては誇り高く、高飛車に、有無を言わさず「あなたは私のもの」と押さえつけて、ルドルフをさらに追い込む存在であってほしい。

それでこそ、その後に教会で悲嘆に暮れるシーンとのコントラストが出ると思いまふ。このシーンのマリーとステファニーのやりとりとそれに続くデュエット、とても良かったので。チョンスミさん、Du bleist bei mir!みたいな音の高い曲より低い曲の方が得意なのかも知れぬ。というか数いる女優の中で、顔が覚えやすくていい。笑

 

シン・ヨンスクさんと皆大好きキム・ジュンヒョン様は、相変わらずの安定感。相変わらずすぎて逆に言うことなくて申し訳ないんだが、もう韓国ミュージカルはこの二人がいないと締まらない。モーツァルト!の時もこの二人が脇をがっちり固めてたおかげで、見ごたえあるものになってたもんな。

というか、ラリッシュとターフェって昔何かあったのでしょ?何があったの?ラリッシュが「あの男と寝たのは間違いだったわ」って言ったように聞こえたのは、さすがに聞き間違いだよね。笑 そんなことマリーにさらっと言わないもんね。

でもでもでも、ラリッシュとターフェのサイドストーリーでミュージカル作ってほしい!もちろんこの二人キャスティングで!実は過去に大恋愛をしていたとか、ラリッシュを守るためにターフェは策略家にならざるを得なかったとか、そういうやつ。

 

今後ジュンヒョン様にはノートルダムドパリのフロロとかもやってほしいわ。私がエスメラルダで、フェビュスを捨ててフロロと地獄に堕ちるのっ。

 

 

 以上!