★★★★★
・2016年12月18日(日) 15時
・城南アートセンター
・カジモド:홍광호(ホン・グァンホ)
エスメラルダ:전나영(チョン・ナヨン)
フロロ:서범석(ソ・ボムソク)
フェビュス:오종혁(オ・ジョンヒョク)
グランゴワール:김다현(キム・ダヒョン)
クロパン:문종원(ムン・ジョンウォン)
フルールドリス:김금나(キム・クムナ)
🔔原点に吹き込む新しい風
もうこの作品好きすぎて、暗い中で序曲聞いただけで「あー原点に帰ってきたな」と懐かしくなって早くも感傷に浸った。笑
この作品こそ私のミュージカル原体験だからね。
もう出会ってから20年近く経つのね。
そして時は経ち、ハンミュファンになって一年余り。
念願の(T_T)
悲願の(T_T)
ホン・グァンホ(T_T)
グァンホを知ってからぜひ見たいとずっと願っていたのだけど、カジモドがイケボでもな…というのと、訪韓とのタイミングが合わなくて見そびれていた。
しかし待てど暮らせどグァンホの次回作は発表されないし、このまま見られないならノートルダム見ておけば良かった…と後悔し始めたところに、城南市で地方公演!ここなら無理なくソウルから行ける!
しかもフェビュスはオ・ジョンヒョク!ジョンフェビ!筋肉イケメン!絶対合う!そしてグランゴワールは、気になっていたキム・ダヒョン!グァンホが見られるのみならず、イケメンパラダイス!ポチッ!!
実際に聞く生グァンホはもう耳福すぎて、耳をpamperしすぎでpampersが必要でした(意味不明
とにかく、この声で名前を呼んでもらえるなら私エスメラルダになっても構わないわ。死ぬのは嫌だけど。死んだふりするからラストの曲を耳元で歌ってほしい。
この最後のDanse mon Esmeraldaはマイミュージカル史上最も悲しい&好きな曲で、もうグァンホに全部持っていかれてしまい、あんなに「イケメン♡!筋肉♡!」と興奮して楽しみにしていたジョンフェビでさえ、カーテンコールで出てくるまで忘却のファーアウェイ。
というかグァンカジはもはや鐘つきにしておくのは勿体無い。下に降りてきてミサで歌いなさい!と思うほど、魂が震える歌声で、カジモドの抱える闇とか切実な愛が痛いほど伝わってきました。
しかもグァンホって顔がかわいいから、つぶらな瞳のグァンカジが余計純朴で哀れに見えて。歌声×カジモド×つぶらな瞳のトリオ攻撃に、もうグァンカジが歌うたびにうるうるしてた。もうこの先グァンホ見るだけで泣くんじゃないか私。笑
本作に関しては特にこだわりのあるわたくしですが、今回は全キャスト、かなり理想的な声質・雰囲気だった。大変結構。
カジモドは綺麗すぎずたまにダミ声、エスメラルダは健気で無謀だけど落ち着きと色気も必要、フロロは重厚な声の冷たい炎、フェビュスは見た目も声も王子風、グランゴワールは知的で語りかける感じ、フルールドリスはピュアで世間知らず故の恨み節、クロパンは天に向かって吠える親分肌。
🔔フェビュス論考
今までエスメラルダがフェビュスにこだわる理由ってそこまで共感出来なかったけど、ジョンフェビは何だか純粋で、運命のいたずらで本当にエスメラルダが好きになってしまった感じが出てたのよね。
フェビュスって端から見るとただの浮気男と見られがちで、まぁ実際に褒められたことはしてないんだけど、二人の女性に挟まれる苦悩は本当なんじゃないかと私は思うわけ。
特にフルールってソツのない良家の政略結婚相手だから、彼女に対してはどうしても「心底愛してるから」というよりは、「そうすることを立場上求められているから」愛する素振りを見せている、という風に見えてならないのよね。実際自由に恋愛結婚できる家柄でもないわけだしさ。
そこに妖艶にして無垢なエスメラルダが風に吹かれたように現れたら、「この娘は自分の味気ない生活に、風穴を開けてくれる運命の女性なのかも知れない!」と惹かれることも無くもないと思うのよね。まぁそのせいで実際に体にブスッと穴が空くことになっちゃうんだけどね。
その後魅力的だったはずのエスメラルダの妖しい魅力が逆に「魔術」ということになってしまうのは、この時代の哀しいメンタリティよね〜。
それで思い出したんだけど、二幕のLa monture (フルールの恨みソング)とJe reviens vers toi (フェビュスのやっぱり君が好きだよソング)って、初期の頃と順番が入れ替わってたんだけど、なんでだろー。
確かこないだ見たフランス語版でも入れ替わっててアレ?と思ったから、韓国語版だけの現象じゃなさそう。
元の順番だと、フルール「何なのよあんた。全部嘘だったのね。でもエスメラルダを処刑するって誓うなら愛してあげてもいいわ」(怖 →フェビュス「俺は魔法にかけられていたんだ。本当に好きなのは君さ。エスメラルダは首吊りになるよ」ジャーンッ(仲直り
でサクッと元鞘に納まるのに、この順番を逆にすると
フェビュス「本当に好きなのは君さ。エスメラルダは首吊りだよ」→フルール「何よあんた騙してたじゃない。でもエスメラルダを処刑するって誓うなら、また好きになってあげてもいいわ」→私「だからもうさっき首吊りになるって言ったじゃんうぅうぅっ…!!フルール粘着質で怖いんんぅぅっ!!なんかフェビュス言いなりになっててこの先しんぱいんんぅぅっ!!」
って、ならない?
でもこうなった方が、フェビュスも「チーム可哀想」の仲間入り?その代わりフルールが「耐える女(チーム可哀想)」から「恨み深い粘着女」にキャラ変しちゃうな。フェビュスとフルールはどう頑張ってもトレードオフなのかしら。
んーちょっと途中でこの二曲を入れ替えた意図が分からない。私は仏版サントラで聞き慣れてる前者の方が、今のところは好きなんだけど。
と、あれこれ意外と考え込むフェビュス論考でした。
あ、本稿に浮気を推進する意図はありませんよ、って断っておかないといけない世の中かしら。
🔔中世と現代をつなぐ普遍的テーマ
ところでノートルダムってサンパピエ(クロパンと仲間たち)の観点で見ると、極めて現代的なテーマよね。
庇護と幸福を求めてきた異邦人を、危険だ、異教徒だ、犯罪者だ、野蛮だと決めつけ、一網打尽に捕らえられて強制送還。
あらーなんかすごいデジャビュ!
もちろんいい人ばかりではないし、社会的脅威になりうることは十分承知なのだけども。
このミュージカル、フランス人は大好きだけど、今フランス人がこれを見たらどう思うんだろう。今の世界にあっては、外国人なんて送還されてしかるべき、とか思われちゃうのかな。
私は外国に住んで、幸いにも虐げられたり暴力を振るわれたりしたことはないけど、外国人であることを理由に嫌な思いをしたことは些細ながらもたくさんあるから、
いつ自分に向けられるとも分からない憎悪や排除が、社会のあちらこちらに潜在しているのを感じたから、
Condamnés とか Libérés みたいなサンパピエの曲には共感しちゃうな。
きっと「外国人」になったことがある人は少なからず分かってくれるものと、勝手に思うんだけども。相変わらず共感するところの多いミュージカル。
🔔その他つれづれ
・韓国ミュージカルにはめずらしく、若干のさだまさし現象が見られる。
・カジモドがエスメラルダをさらおうとするシーンで、エスメラルダが抵抗するのは分かるんだけど、今回まさかの膝蹴りかましてたw グァンホはもうちょっと丁重に扱ってw
・Déchiréの韓国語タイトルが「つらい」なのがウケる。そんなこと言われてもw
あとつべで見たチェ・スヒョンフェビュスはこの曲の最後に胸元をバッ!!ってハダケてたから、大変期待して目を凝らしてたのに、ジョンフェビはやってくれなかった。彼は絶対いいトルソーだから残念。
・なのに、苦悩ソロ曲の歌い終わりになぜか神父服の前をバッ!!と開き、黒いタンクトップを露わにするフロロのお前じゃないよ感。いやこれは本当に求めてない。その権利フェビュスに譲ってくれ。てかフロロこんなキャラだっけw
・すごいどうでもいいんだけど、オジョンヒョクの首が前に出過ぎ(猫背?)なのが気になった。フェビュスのテロンとした衣装だととても目立つ。体に悪そうで心配(誰
以上!