浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

쓰릴미 / スリル・ミーで怖いもの見たさを満たそう!そしてもっとハマろう!

 

 

★★★★★

・2016年4月16日(土)マチネ
・DCF대명문화공장
・私:이상이(イ・サンイ)
  彼:강동호(カン・ドンホ)
 
<まとめ>
ドンホ彼=天上天下唯我独尊DV男
サンイ私=歌うまタレ目
この私=スリミハマった
 
<ドンホ彼>
いわゆる「私に好意はない方の彼」。基本メンタリティが「我々は超人」と言いつつもトップは自分、「私」は次点。心理的にも物理的にも「私」を見下してるばかりか、その高い暴力性が際立つ。
 
それはアメとムチでは到底なく、
 
 
ムチ!ムチ!ムチ!
 
 
ビンタ!
 
 
タックル!
 
 
背負い投げ!
 
 
ニーチェ本を床にバーン!
 
 
盗んだバッグをサンイにバーン!
 
 
たまにサンイも床にバーン!
 
 
血みどろロープで床をバーン!
 
 
鉄パイプで床ガンガンガン!
 
 
どれも本気!!力任せ!!!😱
 
 
 
サンイの息の根を止めようとしたり、耳を引きちぎらんとしたり、キスすらサンイの口から魂を吸い出して殺そうとしてるんじゃないかと思わせるDV彼であった。
 
  今回の会場は、客席と舞台がすごく近い & 座っていた8列目が俳優の目線の高さで、ドンホ氏は客席をよく見るタイプなのか、客席に光が当たる時はよく観客と目を合わせていたよう。
私も3回くらい目が合った(気がした)が、完全にイッてしまっているあの目には普通とは違う意味でどきっとした。目と眉毛が怖い人と目が合っちゃったときの感じ(そのままや)。何回もスリミを見にくるアガシらは、恐らくこのガン見の吊り橋効果にやられたのだろう。
  私はというと、当初こそ蛇に睨まれた蛙の気持ちだったが、思い出すにつけどきっとするのは何?吊り橋効果?なんか気づいたらまたドンホ彼見に行きたくなってる⁉︎そういえば예쁜 여자 꼬셨어요のところ絶対私のこと見て言ってたよな!あれは嬉しいよな!勘違いとは言わせないYO!と、変なハマり方をしました。
 
 
<サンイ私>
   そんなドンホ彼に対するサンイはやはりベアで培われた「報われないゲイ」が板についているのか、彼に対して元々のタレ目をさらにタラしていた。デレデレしてはいるのかだが、彼に心酔しているというよりは、どこか「人と一緒にいないと不安」みたいな気持ちを彼で解消しようとしているようにも見えた。他方、声がしっかりしていて安定感抜群の歌唱力なので、知的で自我のある「私」でもあった。
 
   キャラ設定がわかりやすいドンホ彼と比べると、どういう「私」を目指していたのかがいまいちはっきりしなかったが、仮釈放審議の時は本当に歳を取ってるように見えたし、殺人の後は本気で怯え、キレる時はキレるで、演技にはメリハリがあった。汗(冷や汗?)だらだらになりながらドンホDVをモロに受け止めていた点も賞賛したい。
また、本作はあまり歌い上げる曲がないので未知数だが、おそらく歌の実力はドンホ氏よりあるものと思料。
 

 

f:id:oucalaisponti:20161108175137j:plain

 
 
<曲別感想>
好きだった演出は子どもを誘う歌『ロードスター』。床から上がる煙に局所的に光を当てて、動き回る子どもを表現したのは秀逸だった。ドンホ彼は相変わらず不気味だったが、長いコートとハットが長身に映えてかっこよかった(ただの好み
 
ま、ドンホ彼が怖いのは想定していたので、形勢逆転後を如何に演じるのかが注目ポイントだったが、「こう来たか」という意外さがあった。
 
まず、当初形勢逆転は「私」が自首して司法取引をすると脅した時点で起こるものと思っていたし、実際に事前に見聞きした『僕と組んで/Keep your deal with me』では「彼」は軒並み本気で泣きつき、泣き落とせた途端に強がってオレ様を装う、という解釈に思えた。
 しかしドンホ彼はどう見ても本気で泣きついてなどいなかった!どこまでも狡猾に、「私」だけ司法取引で刑を軽くされては面白くない、同じ罰がせめてのボトムラインで、あわよくば自分だけうまいこと抜けてみせよう、とりあえずここは下手に出るに限る、という魂胆が透けて見えた。
   サンイ私はなぜこんなミエミエ演技で落ちるんだ、とも思ったが、よく考えたら司法取引をするつもりはハナからなく、形式はどうであれ「彼」が一度止めてくれればいい訳だったので納得。
 
判決前の晩の『死にたくない/I'm afraid』は、「彼」は死ぬのが怖くて子どもみたいに大ベソをかくものと思っていたが、ドンホ彼は「気づいたら俺やばいじゃん、でも俺がこんなことになるはずないし、理解できない。おかしくなりそううゔゔゔ‼︎」という、絶望や恐怖ではなく発狂するのを理性でぎりぎり踏みとどまっている印象だった。
 
『99年/Life plus 99 years』でも、最初こそ疲れを見せながらも「私」をせせら嗤っていたが、段々「私」の策略が明らかになり、最終的に「狂っている‼︎‼︎」と叫ぶ頃には完全にドンホ彼の方が発狂していた。今回のスリミでは(と言っても見るの初めてだけど)ここでやっと完全に形勢逆転したんだな、という印象。種明かしの時のサンイ私は本当に嫌なヤツだった。笑
その後、劣勢に立たされたドンホ彼は、サンイ私に間を詰められるように後ずさりしながら階段を上がって消えていったが、絶望感を通り越して気が振れたその様子は「モンテクリスト伯」のヴィルフォールの末路を想起させた(MC伯に過去の悪事(不倫相手との子どもを埋めて亡き者とした)を暴かれた上に妻子が心中した結果発狂し、「ここじゃない…!ここでもない…‼︎」と言いながら何もない地面をひたすら掘り返すというミッチン場面)。
 
<まとめ>
ということで初スリミ、怖いもの見たさが存分に満たされました。と同時に何ペアも見る人の気持ちが分かりました。そこら辺は演劇寄りの面白さだね。
全体としては、舞台と客席が近いし、俳優二人だけでペアも毎回変わるから、細かいところ詰めるのも大変だろうに、とても丁寧に作られた舞台で、全然アラというものがなかったのにも好感。おかげて私小説を覗いているような気分でした。またぜひ見に行きたい。出来れば今回の俳優片方×違う俳優。
 
それにしてもこのミュージカルで覚えた韓国語…
안경(めがね), 변호사(弁護士), 경찰(警察), 게약소(契約書), 계획(計画), 어린애(子ども)
あたりは今後の役に立ちそうだけど
 
가석방(仮釈放), 밧줄(ロープ), 쇠막대기(鉄の棒), 염산(塩酸), 자기야(babe), 바보(馬鹿), 씨발(くそ), 개자식(くそ野郎), 협박편지(脅迫状), 공범자(共犯者), 배신자(裏切り者), 밀고자(密告者), 비열한 새끼(卑劣な奴), 유괴(誘拐), 무장강도(武装強盗), 사형(死刑), 뛰어난 인간(優れた人間)
とかは、いつ使うんだろう…使うタイミングわからない単語の方が多いし…汚い言葉もたくさん覚えたな…笑
 
以上!