浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

사의찬미 / 死の賛美の友情賛美が怖い

 

 

★★★★★

 

・2019年9月28日(土)15時

・大学路TOM Theater & Academy,Hall 1

・キム・ウジン:주민진(チュ・ミンジン)

 ユン・シムドク:최수진(チェ・スジン

 サネ(男):에녹(エノク)

 

 

f:id:oucalaisponti:20191018143202j:image

 

 

Netflixでドラマ「死の賛美」を見ていったので、ウジンやシムドクのプロフィール、当時の情勢がインプットできててよかった。

 

・折々で流れる「死の賛美」が、その都度に違う表情を持つ曲に聞こえて印象的。一番耳に残るノスタルジックな曲。

 

・でも他の曲もよいし、3人とも低くて太い声でかっこよく歌ってた。

 

f:id:oucalaisponti:20191018143244j:image

 

・シムドクは綺麗で、大人っぽくて、自立していて、芯が強くて、愛に生きるけど相手に身を任せることはせず、自分の道を切り開いていくタイプのモガ。でも「抑圧されない女性」感が強すぎて、若干ビ○ッチ出てる。経験人数多そう(何

 

・ウジンも既婚者なのにシムドクの他に日本人の愛人もいて、見た目ウブそうなのになかなかのヤリ手。

 

・ウジンとサネが高身長イケメンコンビ、声も似てたので釣り合っててよき。シムドクを口説くサネも、妖しい怪しさを持ったエノクだと絵になる。

 

・チュ・ミンジン氏は「ベア」、「マイバケットリスト」など若々しい役でしか見たことなかったけど、今回声も佇まいも大人の落ち着きがあって素敵でした。

 

・シムドク役チェ・スジンさんは「キング・アーサー」のモルガナぶり。床に横たわったままなのに、歌っている「死の賛美」の時の怨が強すぎて、モルガナの呪いがそのまま続いているようでした。

 

f:id:oucalaisponti:20191018143323j:image

 

・日本語の台詞がとても自然。ちゃんと日本人が訳してると思う。

 

・特にエノクの日本語の発音やイントネーションがうまい。

 

・日本語部分の翻訳カードがチケットの封筒に同封されてた。

 

・ウジンとサネの会話に「べすとふれんど」(発音も日本風)という言葉が何回か出てきますが、終盤に逃げ惑うウジンたちを追うエノクサネが「ふれんどぉおぉぉぉ~~~!!」と雄叫びを上げながら追いかけてくるのは本作一番の恐怖シーン。怯えた二人に拳銃ぶっ放されてましたw

 

f:id:oucalaisponti:20191018143346j:image

 

・本当に二人、飛び込んでどこ行っちゃったんだろうな~。

 

以上!

 

 

エリザベートは暑い夏を冷やしてくれるような色味ね

 

 

★★★★★

 

・2019年7月15日(月)17時

・帝国劇場

・トート:井上芳雄

 エリザベート花總まり

 ルキーニ:成河

 フランツ・ヨーゼフ:平方元基

 ゾフィー香寿たつき

 ルドルフ:木村達成

 小ルドルフ:大橋冬惟

 

 

 f:id:oucalaisponti:20190816165321j:image 

 


・皆さん歌うまでよきでした。井上芳雄さん声が綺麗。パク・ヒョンシクトートは若々しくてフレッシュなトートだったけど、井上さんはオトナの色気があって素敵でした。

 

・結婚式〜ラストダンスに入るまでの白いシーツのパフォーマンスが素敵だった。4本の細長いシーツをシシィを捉える壁に見せたり、ヴァージンロードに見立てたり。二階の上の方の席だったけど、ここのシーツ遊び(?)が綺麗に見えてよかったです。

 

・ラスト・ダンスでは最初の方ずっとトートがエリザを「あなた」と呼んでて違和感あったんだけど、途中からは「お前」。ずっとお前じゃだめなの?トートは「お前」でしょ?(何


・初夜の描写が遠回しなようで結構露骨。笑


・「パパみたいに リプライズ」では、片翼のトートダンサーズがお父さんの横に並んでゆったりと踊ってて、舞台全体がギリシャの神殿みたいになってるのが好きでした。

 

オーストリア帝国内の民族主義が台頭するあまりナチスが生まれる!というくだりがあって、本当にナチスまで出す必要あるのかな?歴史の大きな流れは繋がってるのかもしれないけど、少し先取りしすぎな気もするし、話が逸れる気もするし、単純にあんなに大きいハーケンクロイツを突然見せられて少なからずショックでした。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190816165313j:image

 


・トートダンサーズたちの、どんどん衣装の布が薄くなるところも注目ポイント。最初は重厚な衣装を着ているのに、最終的には「上裸にテープ」というトルソー好きホイホイな格好になります。上裸というのはもしかしたら「上裸風衣装」かもしれませんが、遠すぎて目を凝らしても分かりませんでした(凝らしたんかい

あとトートダンサーズたち、ダンス中にペアになってリフトしてたりして、男性同士なのに大変だなぁと思いました。でも軽やかでとてもよかった。

 
・毎度のことながら、分かる言葉での観劇は言葉が分かっていいね!(当たり前

ルキーニのナレーションとか政治外交の難しいところとか、韓国語では何割かしか分かってなかったので、ここではこんなことを言っていたのかほうほうとなりました。

 

苦労してチケットを取った今回のエリザ。普段ハンミュしか見ませんが、さすがは大作だけあってクォリティ高く、満足できました。古川トートも見たかったですが、またの機会に。

 

以上!

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com

 

더캐슬/ ザ・キャッスルのあるあの場所に戻りたくなったよ

 

 

★★★★★

 

・2019年6月23日(日)18時

・YES 24 Stage 1

・ホームズ:김재범(キム・ジェボム)

 ベンジャミン:이용규(イ・ヨンギュ)

 ケリー:김려원(キム・リョウォン)

 トニー:강은일(カン・ウニル)

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801135047j:image

 


🏨お城ホテルの話


出演俳優陣からしていい作品に違いないということで、見にいきました。

まだあまり知られていない作品だと思うけど、細かいところ結構あって忘れそうだし再演されたらまた見たいかもだからあらすじをメモっておこう。

 

 〜プロローグ〜

ホームズが、燃えたキャッスルの跡地から骨がたくさん見つかったらしいと語る。そしてまだ発見されぬ骨もきっと沢山あるし、跡形もなく消えてしまった人が沢山いるとも。


〜本編〜

殺人を犯したケリーとベンジャミンがシカゴに逃げてくるが、途中でカバンが他人のものとすり替わってしまい途方にくれる。そこにホームズが手を差し伸べて自身の所有するキャッスルホテルに身を置いてあげる。

ホテル周辺をうろつく絵描きのトニーに「キャッスルに入るな、入って出てきた者はいない」と忠告されたこともあり、ベンジャミンはホームズの親切や不自然なホテルの作りを不審がる。それでも2人はケリーのお腹にいる子のために、生活を立ち上げるためにしばらくホテルに身を置くことにする。

なかなか仕事が見つからない日々を過ごすベンジャミンに対して、トニーはキャッスルホテルに入っていったジュリアという女性を探していると説明する。

ケリーはホテル内をうろついているうちにホームズの死体処理部屋を発見してしまう。ホームズはケリーに客殺しを手伝うように迫り、ケリーはそれを受け入れる。なぜならいつの間にかホームズはケリーたちが殺人犯だと言う証拠を掴んでいて、警察には黙っていてあげることを条件にする(すり替わったバッグから足がついた様子)。ケリーは客をガス室に連れていって殺害する仕事を請け負う。

そのうちベンジャミンも死体処理部屋を見つけてしまい、嫌々仲間に加わる。実はトニーが探しているジュリアもとっくに殺されていて、ケリーがジュリアに成り代わって生きていくことにする。

ある日ケリーはジュリアの服を着ているところをトニーに見られてしまい、トニーをホテルに招き入れて殺すことにする。ガス室に入れるがなぜかトニーは死なず、ホテル内のどこかに逃げてしまう。

これは3人の悪事がバレる大ピンチ、しかも外では記者もホテルを嗅ぎ回っているということで、ホームズはホテルに火を放って証拠隠滅し、さらにはベンジャミンに全ての責任を押し付けて犯人に仕立て上げようとケリーに持ちかける。お腹の子のためには僕とベンジャミン、どちらが有益かを考えるのだ、と。ケリーはその作戦をそのままベンジャミンに漏らし、逆にホームズを陥れようとする。

ホテル最後の晩を祝して3人で解体部屋でワインを飲む時にホームズに毒を盛る作戦だが、ケリーがグラスワインを配った段階でなぜかホームズは「俺とベンジャミン、どっちに毒を入れたんだ?」と聞く。そして不敵にも杯を煽った直後、苦しみだす。ホームズは死ぬかに見えたが、すぐに元に戻り、苦しむフリだったと分かる。固まるベンジャミン。俯くケリー。ベンジャミンは隠し持っていた拳銃でホームズを射殺する。ケリーは「『ジュリア』として生きていくためには、『ケリー』を知る全ての人を消さなくてはならなかったの!それにお腹の子はあなたじゃなくて私が殺したヤツよ!」と裏切りの理由を説明する。ベンジャミンはそれでも一緒に生きていきたいと言うが、ケリーは部屋を出ていく。その後を追うベンジャミン。地下室では死んだはずのホームズがすくっと起き上がり、ベンジャミンが口をつけなかったワインを飲む。これもまた飲んでも平気であった。

全てを消し去ろうとホテルに火を放つケリー。ケリーを探すベンジャミン。ホテル内を行き惑うトニー。死んだはずなのに再び現れてみんなを驚かせるホームズ。全てが嫌になったケリーは燃えている部屋に閉じこもって死ぬ。が、なぜかすぐに立ち上がる。救急車両のサイレンが聞こえてきて、自暴自棄になったベンジャミンは「私がホームズだ」と言って警察に捕まる。


〜エピローグ〜

プロローグの時同様にホームズが出てきて語るが、今度はベンジャミンの俳優。あの時2人がシカゴに来ない決断をしていたら、キャッスルに入らない決断をしていたら…。重大な決断の前にはそれがもたらす結果を考えないと、という趣旨のこと(多分)を言い残し、絞首刑に処される。

 

f:id:oucalaisponti:20190801135125j:image

 

 

🏨テハンロの醍醐味

 

いかにも韓国の観客が好きそうな話!最後は死んだはずの人が生き返ったり、いや実は死んでなかったのか?死んだけど生き返ったわけではなく幻覚だったのか?ホームズはベンジャミンだったのか?あなたは私で私はあなた?ということでよく分かりませんが、その辺もまたハンミュ的。


ワインのくだりとかも、心理戦な感じがあって好き。母は強しというべきなのか、既に人ひとり殺めていて肝が据わっているのか、ケリーは打算的で行動力がある。殺人も淡々とこなすし、ベンジャミンに依存せず自立してるし、邪魔者は殺すスタイルだし、普通にベンジャミンをも切って捨てようとするしで、ケリーのキャラも結構好き。


この日はなぜかベンジャミン役が、いつもはトニーを演じている人でした。見たことない俳優さんだったし、本当はチョン・ドンファ氏あたりだったら最高だったんだけど、イレギュラーキャスティングを見る機会があったということで。イヨンギュ氏も十分お上手でした。プレコで見たトニーの時と同じヘアスタイルだったから、髪形くらい変えればよかったと思うけど。そして彼の出待ちではなぜかすごーく長いファンの列が出来てて、何か特別な人なのかしら(失礼

 

f:id:oucalaisponti:20190801135117j:image

 


久々(一年半ぶり?)にテハンロに来ましたが、やっぱりこういう小規模の作品でもピカイチの俳優が出てるのがいいところ。

「ゴーン・トゥモロー」以来ずっと再会を楽しみにしてたジェボム氏、期待していた通り演技も歌も最高でした。いや、特に演技に関しては期待以上のサイコパスホームズでしたw

話してるうちに自分の世界に入り込んで早口になるのも、突然真顔の低い声でケリーに「これ(死体用袋)を持て。持て。持て。持て」と冷酷に命令するのも、怒るような状況でも声を荒げることなく逆に余裕が増すようなところも、もう本当にサイコパス過ぎてこの人大丈夫かしらと思ってしまいました最高。

ゴーンみたいに大きな舞台に立つ姿も良かったけど、こうして近いところで細かい演技を見せられることに大きな価値がある俳優さんだと思います。


そして他のホームズ俳優たちも、きっとそれぞれに全然違うサイコパス野郎を演じていたことでしょう。うんうん、いいねテハンロ、また来よう。

 


以上!

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com

 

안나 카레니나 / アンナ・カレーニナ 生き様も舞台もあんな華麗にな

 

 

★★★★★

 

・2019年6月23日(日)14時

・ブルースクエア

・アンナ:김소현(キム・ソヒョン)

 ヴロンスキー:김우형(キム・ウヒョン)

 カレーニン:서범석(ソ・ボムソク)

 レーヴィン:최수형(チェ・スヒョン)

 キティ:이지혜(イ・ジヘ)

 パティ:한경미(ハン・ギョンミ)

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801105329j:image

 

 

🚉壮大な小説のスリム化成功例

 

アンナ・カレーニナ、わたくし読むのが遅くて読了に一年半要したのですが、そうでなくても読みごたえのある大作。これをどうやってミュージカルにするの!と興味津々でしたが、案外すんなりすっきりということになっていて驚きました。

もっとも、一年半も読んでいたので前半に何があったかなんてほとんど覚えておらず…あらすじを読み直していきましたが、アンナ-ヴロンスキーラインと、キティ-レーヴィンラインの大筋が分かっていれば十分、という感じでした。

 

一度幕が上がれば、豪華絢爛なロシアの社交界に引き込まれます。背景が大きなスクリーンになっていて、そこに映像美が展開されます。駅舎、列車、競馬場、舞踏会場などのシーンが印象的でした。ここまで手が込んでいるともはや清々しいですね。下手なセットよりもリアルです。ゴージャスでリアルな映像で、シアター型のアトラクションみたい。

 

その中を美しいアンナとイケメンヴロンスキーが行き交い、キティとレーヴィンは可愛らしく、折々に不気味なMCが出てきて不穏な空気を漂わせます。どこを切り取っても絵になる、金太郎飴みたいな作品でした。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801105356j:image

 

 

これはどちらかというと小説そのもの感想ですが。アンナがヴロンスキーの心を決定的に奪う瞬間、それは舞踏会でのことなのですが、その時に着ているのが「黒いドレス」というのがまたニクい!これは原作でも黒いドレスと書かれているのですが、トルストイのセンスに感服しました。ヒロインの美貌をハイライトする場面で、普通、黒い服を着せますか?いや着せない。(反語 普通、赤とかゴールドとか、その辺でしょう。 それをトルストイは敢えて漆黒のドレスを着せて、見事にアンナの魅力を最大限に引き出したわけですねぇ。

舞台でももちろん、この黒いドレスでアンナは舞踏会に登場します。その後のふわふわコートとか、シンボリックな赤いドレスとか、ビシッとキマるヴロンスキーの軍服とか、この作品は衣装もとてもセンスがよく、登場人物の魅力を引き立てます。

 

 

🚉女の一生 名場面集

 

もちろん、見どころ、歌いどころも満載。アンナとヴロンスキーのデュエットはいくつかありますが、どれも切実で美しいメロディ。キム・ウヒョン氏、私のイメージするヴロンスキーよりは少し先輩な印象だったのですが、渋い出で立ちとイケボでとても魅力的でした。

 

f:id:oucalaisponti:20190801105418j:image

 

 

アンナは今回キム・ソヒョンさんをチョイス。初演のオクジュヒョン、チョンソナを考えるとお色気度は少し下がる今回(特にチョンソナさんのツンとした美貌とムンムンな色気と肉感的な姿が本当にぴったりで、生で見てみたかった…)。ダブルキャストのユンコンジュさんも大大大好きだけど、人妻感があるのはソヒョンさんかなーなんて。どうやったらあんなに可愛くて可憐で愛らしい美魔女になれるんだ・・・お人形さんのようでした。これならモテモテ青年士官をしてひと目で惚れさせちゃうのも納得。

逆に歌は、高音は綺麗だけど低音があまり得意でなさそう、というイメージがあったのですが、それもそこまでは気になりませんでした。例えば「私は自分の気持ちに従って愛に生きるわ!」と歌う「自由と幸福」(日本語にするとなんだか怪しげな思想の曲みたい^_^;)。ソヒョンさんが、こんなに地声で歌うとは思ってませんでした!高い裏声の方が聞き慣れてるからか心地いいけど、こんな地声も出るんだ~。新鮮。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801105454j:image

 

 

キティとのデュエットも良かったです。物語終盤、二人がそれぞれの立場から「自分がこうなるとはあの時は思ってもいなかった」と歌うのですが、かたや素朴ながら確かな愛を掴み、かたや蔑まれる愛の深みに嵌り、ここまで残酷な対比ってあるかしら?キティが高い場所で高音で、アンナが低い場所で低音で歌うので、声のトーンや立ち位置でもコントラストがはっきりと表れる、二人の顛末の象徴的な曲だと思いました。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801105510j:image

 

 

順番は忘れましたが、アンナがこらえ切れずに自分の息子に会いにいくシーンは、小説でも記憶に残っていたところだったので、取り上げられて納得でした。どんなにヴロンスキーを追いかけていても、自分の子どもはやっぱり捨てがたいんだなぁと。でもアンナ、ヴロンスキーとの子ども(ミュージカルではカットされていますが、原作では娘がいる)にはあまり興味を示さないんですよね。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190801105605j:image

 

 

一番好きだったというか、心動かされたのはオペラのシーン。ヴロンスキーの制止を振り切ってオペラ歌手パティ見たさに劇場に来てしまい、社交界から総スカンを喰らうアンナ。「もう何もかも嫌!!」と椅子に突っ伏した時に鳴り響いたパティの歌声は、まるで異次元から聞こえてきた声かのようだったと思います。

 

この場面、セットも含めてとても好き。手前にアンナが座っていてパティがいる舞台を見上げている形で、アンナに当たっている温かい照明が不思議。その奥ではパティが高い舞台上にいて、背景には壮大な宗教画が広がっており、まるでパティが天上から、天使たちに囲まれて歌っているよう。

 

f:id:oucalaisponti:20190731165742p:plain

 

「世界で一番美しい音色は人間の声」と言いますが、本当にその言葉がぴったりだと思いました。この場面でパティが歌う曲はメロディも歌詞も美しくて、それが美しい声で歌われていて、アンナの運命を一種決定づける致命性を持った曲。圧倒的な悲しさと超越した美しさが渦巻いて「死」という答えが導き出される場面に遭遇して、アンナじゃなくてもぼろぼろ泣いてしまいました。全体を通して見ごたえ十分の作品ですが、このシーンのためだけに見てもいいレベルです。

 

 

ソヒョンさん、カーテンコールまで泣いてたけど、これは相当堪えるだろうなぁ…。愛して悲しんで自殺して、ってすごく疲れそうな舞台だもん。ふと思ったんだけどミュージカル俳優って、一生に何回くらい舞台上で死ぬんだろう。命がいくつあっても足りないとは、ことのことだな! 

 

以上!

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com

 

 

엑스갈리버 / エクスカリバーの持ち主はシャー

 

 

★★★★★

 

・2019年6月22日(土)19時

・世宗文化会館

・アーサー:김준수(キム・ジュンス

 ランスロット:엄기준(オム・キジュン)

   モルガナ:신영숙(シン・ヨンスク)

   マーリン:김준현(キム・ジュンヒョン)

   グィネヴィア:민경아(ミン・ギョンア)

 

 

f:id:oucalaisponti:20190702161215j:image

 

 

👑ミュージカル俳優キム・ジュンスを訪ねて

 

あの独特の声に慣れるのに3年かかり、やっとジュンスデビューしました!

私はミュージカルに関しては実力至上主義者(顔面は加点要素に過ぎない)なので、進出してくるアイドルには厳しく、うまいのかどうか分からない人にお金は使いたくないのですが…。さすがにジュンスもこれだけミュージカルに出ていればミュージカル俳優としての実力もついてるのだろうと思い(何様)、今回思い切って見にいってみました。

 

特に今回、比較対象が前日に見た実力者カイという不利な状況に(私の中で勝手に)立たされていたジュンス。しかし結果的には見てよかったと思いました。もちろん歌を比べてしまうと、ちょっと低音域が狭いな~とか、もうちょっと声量がほしいな~と思う場面はありましたが、アーサーという役の見せ方の点では妙に説得させられる演技で、カイ版よりもストーリーがすっと入ってきました。

 

カイに比べてシャーサーは子どもみたいにあどけなく、元気よく、キュートなアーサーでした。冒頭の仲間たちとの戯れシーンから、皆に愛されているのが分かります。ランスロットがオム・キジュン氏ということもあり、本当に兄と弟という感じで。後半に周囲を突き放すあたりは、イヤイヤ期の子どもかと思いましたがww

 

f:id:oucalaisponti:20190702160033j:image

 

でもその子どもらしい素直さやナイーブさが、最終局面に効いてきました。

腕の中で生き絶えたランスロットに、子どもみたいに何度もごめんねごめんねと謝って号泣するシャーサー。悲しみに入り混じる罪の意識がこの日のアーサーからは強烈に感じられて、涙を誘われました。

 

また、シスターになったグィネヴィアとの再会シーン。かたや心配してくれる妻を未熟にも突き放してしまったこと、かたや悲しみに任せてワンナイト(だとやっぱり思ってる)してしまったこと。どちらも熟考の末の決断だったならいざ知らず、ほんのいっときの感情に流されてした行動だからこそ、取り返しのつかない重大な結末に一層悲壮感を感じました。ここはいつも『源氏物語』の、出家した藤壺と源氏を思い出してしまうのですが(どうでもいい)、流石に源氏でもアーサーでも、一度俗世を捨てた人を俗世には戻せないわけで、実質的には今生の別れということになるのです。

 

こうして、愛し愛された人々を失ったアーサーは唯一残ったエクスカリバーを持ち、岩に登って天に剣を突き上げて終わります。

この一連の結末、カイバージョンの記事でも書いたように、最初見た時は結構モヤッとしていたのです。それはおそらくカイ氏は、しっかりとした足取りで登りつめ、エクスカリバーを振り上げていたから。立ち直りはやっ、と思ってしまった。

対してジュンスのアーサーはやっとの思いで剣を拾い上げ、打ちのめされた様子でよろけながら岩を登っていき、最後の力を振り絞って剣を突き上げたようでした。私としてはこちらの方が感情の面でも説得力があるし、ランスロットやグィネヴィアと別れた悲しみの余韻が残っていて、前日と違って「エクスカリバー」がとても悲しい話に思えました。ミュージカル俳優キム・ジュンスに拍手を送りたいと思います(だから何様

 

f:id:oucalaisponti:20190702160044j:image

 

話は全然変わり、これはおそらく逆に彼がアイドルだからこその発見なのですが、ジュンスから観客への視線の送り方がすごい。今回の舞台は銀橋のようなものがあるのですが、その端の少し出っ張っている部分でアーサーが歌う場面がいくつかあります。そういう、観客との距離が近い場面で歌っているのを見ていると、ジュンスは目の前にいる観客を一人ひとり覗くように見て歌っているんです。ミュージカル俳優ではあそこまで観客をしっかり見つめるのは見たことなかったので、これが一流アイドルなのかしらと感心。あんな見つめられ方をされたら、確かに心を掴まれるかもしれません。

 

 

👑ベテラン勢も本領発揮

 

オム様ランスロットもさすがとしか言いようがありません。まずはその変わらぬ若々しさ!実年齢の半分くらいの役も軽々とこなしてしまうのです。ハンミュ界ではキム・ソヒョンさんが「アラフォーに見えない女優」として名を馳せていますが、男性版を決めるなら間違いなくオム様が抜擢されると思います。

もう一つさすがなのは、やっぱり演技力。前日のパクガンヒョンくんの時は特に何とも思いませんでしたが、オム様を見ると演技うまい!と思います。開幕数日後にしてすでに余裕があるというか、シンプルなのに身のこなし一つひとつが多くを語っていました。オム様久々に見ましたが、やはり素晴らしい俳優!

 

f:id:oucalaisponti:20190702160104j:image

 

マーリンとモルガナは、前日と同じお二人。ここが同じキャストにして抜群の安定感だったので、安心して他の役に集中できました。お気に入りの2人なので、2日連続でこの爆発力と濃厚な色気を堪能できて、もう本当にご馳走様でしたおかわりください。

 

おかわりと言っていいか分かりませんが、ミーハーなので観劇後に楽屋口に行ってみたらジュンヒョン様の退勤に遭遇できました♡ 生ジュンヒョン様を近くで拝見し、なんとサインまでいただき、握手もしてもらうというフルコースを終演後にいただいて、お腹も胸も頭も全部はち切れました。充満する色気を吸いすぎて寿命が3年くらいどうにかなったのですが、寿命は果たして延びたのか、縮んだのか。お肌もオーバー40とは思えないほどピカピカでした。はぁ至福。

 

f:id:oucalaisponti:20190702160050j:image

f:id:oucalaisponti:20190702160055j:image

 

 

以上!

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com

 

그리스 / グリースという栄養ドリンクミュージカル

 

 

★★★★★

 

・2019年6日22日(土)15時

・Dキューブアートセンター

・ダニー:서경수(ソ・ギョンス)

 サンディ:양서윤(ヤン・ソユン)

 ケニッキー:임정모(イム・ジョンモ)

 リゾ:황우림(ファン・ウリム)

 

 f:id:oucalaisponti:20190701171859j:image

 

 

 

久しぶりにソ・ギョンスを見ようと思い。今回リニューアルしたとかいう『グリース』に行ってまいりました。グリース、映画もミュージカルも基礎教養だと思いながら、見たことなかったのでちょうどいい機会でした。楽しげハッピー☆な話もたまにはイイネ!重いミュージカルを見がちですが、若いパワーで元気になれる作品でした。

 

f:id:oucalaisponti:20190701171846j:image

 

 

リニューアルして変わってしまったやら、出演者が俳優なのかアイドルなのか分からんやら、賛否両論色々あるようですが、ギョンスはその中で数少ないキャリアミュージカル俳優としての出演でした。というか他に誰一人として知ってる俳優いなかったので、ギョンスが出てなかったら見にいってないと思う。w

でもでも、私が見た回はキャスト全員、よかったですよ。全員歌上手かった。

好きだったのはダニーとケニッキーのコンビ。ケニッキー役のイム・ジョンモ氏が、ギョンスのダニーと似たような背格好とリーゼントだったから、カリスマ悪ガキ2トップな感じでサマになってた。何なら、ダンスはケニッキーの方がうまかったかな。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190701171841j:image

 

いやね、やっぱりTバードみたいなグループを率いるようなキャラは、ビジュアル的にもワイルドで強そうじゃないといけないと思うのよね。そういう意味で背が高くてガタイのいいギョンスは適任だったと思います。何やらヒョロヒョロしたダニーもいたみたいだけど、どう見てもリーダーに見えなかったもん…。とにかくこのダニーとケニッキーの2人がかっこよくてよかったです。

 

f:id:oucalaisponti:20190701171828j:image

 

ドゥーディ役のキ・セジュンくんも上手かった。プレコで初めて知った俳優さんだったけど、彼出演の回に当たってラッキー!と思いました。リゾ役のファン・ウリムちゃんも堂々とした歌声と演技で、好印象でした。

 

f:id:oucalaisponti:20190701171835j:image

 

今までのグリースはどんな演出だったのか知らないけど、今回の演出、私は嫌いじゃなかった。背景全面に広がるスクリーンを駆使しているのが特徴で、カラフルな映像がダイナミックに移り変わるので、常に映画館にいる感じが半分くらいするけれど、まぁ古典的な作品だし、時代設定もふた昔前くらいなので映画っぽくてもいいのではないか(雑 

セットがしょぼいよりは、思い切り映像を駆使してくれた方が見る方は楽しいしね。でもセットもしょぼくなかったです。

 

一つリクエストがあるとすれば、変身後のサンディーのヒールをもう少し高くしてあげて!ダンス多いから大変なのは分かるけど、あれじゃあ近所に買い物に出かけたオバサンの足元だわ!

 

 

以上!

 

 

엑스칼리버/ エクスカリバーに歌うま警報が発令されています

 


★★★★★


・2019年6月21日(金)20時

・世宗文化会館

・アーサー:카이(カイ)

    ランスロット:박겅현(パク・ガンヒョン)

    モルガナ:신영숙(シン・ヨンスク)

    マーリン:김준현(キム・ジュンヒョン)

    グィネヴィア:김소향(キム・ソヒャン)

 

 

f:id:oucalaisponti:20190623071650j:image

 

 

🐉あらすじ


読んでいったArtus Excalibur (本作の前身?)のウィキペディア英語ページのあらすじと若干違っていたので、備忘メモがてらの長いあらすじ。


<一幕>

~プロローグ~

マーリンらしき長いマントの人物が、エクスカリバーが刺さる岩の前で赤ん坊を高く掲げている。

 


~本編~

幼なじみのアーサーとランスロットが、仲間たちと戯れあって青春を謳歌している。

アーサーは父エクトルと二人で暮らしているが、そこにマーリンが突然現れる。

マーリンはアーサーが実は先代の王ウーサー・ペンドラゴンの不義の愛の末に生まれた息子であり、自分こそがエクトルに赤子のアーサーを託したのだと明かす。また、迫りくるサクソン人から国を守るためにアーサーが聖剣エクスカリバーを抜いて王になるしかないと説く。困惑するアーサー。


ウォルフスタン率いるサクソン人の侵略が迫り、魔女モルガナが身を置く修道院にも押し寄せる。サクソン人は慈悲もなく皆殺しにするが、モルガナは自分がペンドラゴンの娘で、サクソン人の拠点となりうるペンドラゴンの城のありかを教えるからと辛うじて死を免れる。

修道院に囚われていたと思ったら、今度はサクソン人の人質に…。モルガナはかつて自分を守ってくれると約束してくれていたマーリンは、自分を捨ててどこに行ってしまったのと嘆く。


アーサーは困惑しながらも決意を固め、誰にも抜けなかったエクスカリバーを岩から抜き王となる。ランスロットはずっと一緒だった幼なじみが突然伝説の人物となり戸惑うも、友を王として受け入れる。

そこにグィネヴィアが現れて、何も知らずに「エクスカリバーを抜いた人を見たか」とアーサーに尋ねる。アーサーは戯けて「見たさ、すごく素敵な人だった」と答える。グィネヴィアはもしもその人に会ったらきっといい世界を作れると伝えるのだと意気込み、その姿にアーサーは惹かれる。グィネヴィアは最終的に目の前にいるのが剣を抜いた人物だと知り、決まり悪そうに去っていく。マーリンはアーサーに、彼女が未来の王妃だと告げる。


ペンドラゴン城に到着したサクソン人。城の中でモルガナはマーリンが残した道具を見つけ、彼を探し出す決意をする。


グィネヴィアの村にアーサーとランスロットが訪ねてくる。ランスロットがアーサーからエクスカリバーを借りて女の子たちに見せびらかしている間、グィネヴィアを口説くアーサー。そこにサクソン人の部隊が現れ、エクスカリバーを持っていないアーサーは怪我を負ってしまう。剣を持ったランスロットが戻ってきてなんとか戦い、サクソン人部隊のリーダー(ウォルフスタンの息子)を追い返す。

ランスロットは不注意でアーサーに怪我を負わせたことを仲間に責められる。


ペンドラゴン城では命からがら戻ってきた息子から、ウォルフスタンとモルガナはアーサーの存在とエクスカリバーをアーサーが持っていることを知る。モルガナはアーサーは死んだものと思っていたので、自分以外にペンドラゴン王の後継者がいたこと、そのためにマーリンは自分を捨てたことが分かり大憤慨。全力を以ってアーサーを倒すことを誓う(アーサーを倒す目的が一致したからか、多分この辺でモルガナは囚われの身ではなくなる)。


怪我から復帰したアーサーはグィネヴィアとの愛を確認。そこにモルガナが現れ、自分は生き別れた姉だと明かす。姉の存在を初めて知ったアーサーは、その女に関わるなというマーリンの忠告に反し、一緒に暮らそうとモルガナを受け入れる。


アーサーは正式に戴冠し、円卓の騎士を組織する。

 

 

f:id:oucalaisponti:20190623071811j:image

 

 

<二幕>


アーサーとグィネヴィアの結婚式。お祝いムードで皆が陽気に歌う中、端の方でモルガナは不審がるマーリンに「私に知恵を全て授けるという約束をしたではないか」と迫る。

また別のところでは一人でいるランスロットに対してグィネヴィアが「孤独なあなたに必要なのは愛よ!」と助言?している。永遠の愛なんて僕には訪れないと歌うランスロット


結婚披露宴もたけなわ、アーサーが杯を持って乾杯しようとするが、グィネヴィアはアーサーが飲みすぎることを心配してお義父さまに任せましょうと杯をエクトルに渡す。息子の晴れ姿に喜ぶ父は乾杯後に杯を飲むと容態が急変、毒殺されてしまった。サクソン人の仕業と考えたアーサーは、心配するグィネヴィアやランスロット、マーリンをも追い出してしまう。慰めに駆けつけたモルガナに焚きつけられ、サクソン人と徹底的に戦うことを決意する。サクソン人の側では、アーサーに怪我を負わされた息子を結局亡くしたウォルフスタンが闘志を燃やしていた。


サクソン人を憎む余り無謀な作戦に出ようとするアーサーはランスロットと衝突し、負傷させる。とどめをも刺さんかというところにグィネヴィアが割って入り、ランスロットの傷を手当てする。


森ではモルガナが黒魔術を唱えている。マーリンが現れて牽制するが、モルガナはマーリンとその魔力への欲望をぶつける。


グィネヴィアはアーサーに対して復讐心に溺れないよう諭すが、アーサーは父の死をグィネヴィアのせいにして突き放してしまう。

仕方なくグィネヴィアとランスロットは森を歩きにいくが、アーサーを心配するグィネヴィアの心を得ることができないと悲嘆したランスロットは自殺を試み、止めにきたグィネヴィアと抱き合い、接吻する。


マーリンの魔術部屋?をモルガナが漁っている。マーリンが入ってきても悪びれずに彼を誘惑しようとするモルガナ。マーリンが反撃してモルガナを脅しているところに運悪くアーサーが現れ、マーリンに対する不信感を募らせた彼は姉を連れて出ていく。


迫りくる決戦の日。しかしアーサーの横にいるはずのランスロットが見当たらない。森にランスロットを探しにいったアーサーはモルガナに出会い、妻と親友の不義を知らされる。激怒したアーサーは二人を国外追放に処し、絶望してマーリンに助けを求める。マーリンはアーサーを勇気づけ、サクソン人との戦いに向かわせると同時に自分はモルガナ打倒を引き受け、彼女と刺し違えて消滅する(モルガナが突然倒す対象になった理由はよく分からなかったすみません)。


サクソン人との戦闘中、ランスロットが駆けつけて加勢する。アーサーは勝利するが、戦いでランスロットが致命傷を負い、アーサーの腕の中で息絶える。グィネヴィアもまた追放後は修道女になり、アーサーとの生活には戻れない身になっていた。戦いに勝利したものの、妻も親友もマーリンも失ってしまったアーサー。唯一手許に残ったエクスカリバーを見つめ、運命を受け入れて剣と歩んでいく決意をする。


<終わり>

 

 

 

🐉歌うまモンスター大集結祭


渡韓日程にちょうど合う形で、マイベストキャストで見ることができました!!ぜひ見てみたい俳優&ヘビロテ俳優オンパレード。一人ずつでも、ご飯何杯もお代わりできちゃう逸材揃いですよ。最近チケットの値段高くなってるけど(これなんて15万ウォン!)、ここまで名優揃いならばと納得してしまいます。でもこれ以上上げないで…。


まずはずっと見れていなかったカイ氏。動画で見ていた朗々と歌うイメージの通り、よく通る力強い声。声張る時の声量やばし。嬉しい時、荒れた時、泣いている時、どんな時も決して乱れない安定した歌声。

賢いけど頑固なアーサーという感じで、モルガナに騙されて周囲と反発する時は結構イヤなやつに見えます。笑 そんなところも、アーサーの人間味溢れる部分が垣間見えてよいのですが。

 

f:id:oucalaisponti:20190623071942j:image

 


そしてランスロットのパク・ガンヒョン、う・ま・い!!彼、実はずっと前に「ベア」で見てうまいなと思っていたきり、なかなか縁がなかったのですが。あの時はピーター役でピーピー泣いてたのに、あれよあれよと大出世したねー。イメージもだいぶ男らしくなって、すっかり大劇場系スターの仲間入り。

でもでも、本当にそれにふさわしい実力者だし、そのスターたちより歌うまいくらいだと思います。今回カイよりも上だなと思ってしまった。今後どういう道を歩んでいくのか楽しみです。


キムソヒャンさんのグィネヴィアは間違いなく本作の元気印!キュートすぎる。笑顔でいることって大事だなと彼女を見てると思います。そんな笑顔を消すアーサー、あり得ないわん。


アーサーと周囲(グィネヴィア、ランスロット、マーリン)との衝突はかなりしっかりと描かれているのに対して、グィネヴィアとランスロットの関係は折に触れて少しずつ。親しい友人同士として気遣い合っているだけのようにも見えたので、もう少し「禁断の愛感」を掘り下げてほしかった。

ランスロットは突然「彼女の愛を得ることが出来ない」と歌い始めるし、でもどこでグィネヴィアのこと好きになったのかよく分からなかった。二人が抱き合って不倫したのも唐突で、どちらかというとワンナイトに見えるのネ。暗転して次に照明ついた時には二人の上着が脱ぎ捨てられてて妙に生々しいという。しかもその場所、森だし。笑

 

f:id:oucalaisponti:20190623072015j:image

 


マーリンは歌いどころ少ないのかなと思ってたけど、普通に結構ありました。ジュンヒョン氏は声に爆発力があるからすごく強い魔法使いに見えるし、セクシー地獄男なのでモルガナとの絡みも濃厚。途中から何故かハチマキ巻いてるのは本当に必要なのか分からんけど。


マーリンとモルガナはかつて一緒にいたことがあるらしいのですが、恋愛関係だったのかと言われるとちょっと違う気もする。年も結構離れてるはずだし、モルガナはマーリンといた時の自分を「少女」と言っているので、勝手に思うにマーリンは使命のために少女モルガナを守っているに過ぎなかったが、モルガナの方はマーリンに対して恋心を持っていた、みたいな感じではないかと。

オマセな女子中学生が塾の先生に恋しちゃって、でも先生は取り合わずに粛々と受験対策を教える、みたいな。全部君に教えてあげるよって言ってるんだけど、先生はさらに有望な生徒アーサーを見つけて、それがまた有望なわりに頼りないもんだからそちらに熱心になってしまうんですね(何

 

f:id:oucalaisponti:20190623072052j:image

 


モルガナのシン・ヨンスクさん、もはや見る前から当たり役だと分かりますが、実際に見るとはい正解、当たり役です。彼女の歌った “Sins of the Father”が、劇中で一番大きな拍手と歓声を受けてました。それもそのはず、曲のクライマックスでは歌声と怨念が爆発しすぎて劇場が崩れんばかり。耳のキャパオーバー寸前のところを攻めてきます。魔力や執念が強すぎて、こないだまでエリザベートやってた人とは思えませんw


しかしまぁモルガナのやり口ってすごい。カルト集団が信者を周囲と引き離す時と同じようなやり方で周りの人への猜疑心を掻き立て、アーサーを孤立させていきます。そして傷つく度に慰めて、自分への依存心を育てる。勉強になります(何


他方でサクソン人は完全にただの野蛮なカルト集団みたいな描かれ方してて笑ったw


ラストシーンの締めですが、コーラスじゃなくてアーサー王の歌で終わってほしかったな。舞台上にアーサーしかいない状態でのコーラスだから、結局アーサーはどうしたいのかのメッセージ性が弱い。その点「キング・アーサー」は「これからは国の為に頑張るぞ!オー!」というのが伝わってて良かったです。


この「エクスカリバー」、もはや元の「アーサー王物語」の諸設定はガン無視なのですが、各キャラ立ってるし、ラストシーンは少しモヤッとしたものの、全体として納得感がある作りでした。シスターになったグィネヴィアが俗世に戻ってきたらどうしようかと一瞬思いましたが、さすがにそんな無茶はさせませんでしたw

 

以上!

 

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com