浮かれポンチ、ハンミュを観る

主に観たハンミュ(韓国ミュージカル)のレビュー置き場。

헤드윅 / ヘドウィグはドンドンふつくしくなるよ

 

 

★★★★★


・2019年9月29日(日)14時

・弘益大 大学路アートセンター

・ヘドウィグ:전동석(チョン・ドンソク)

 イツァーク:홍서영(ホン・ソヨン)

 

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まず、世界中が既に知っていることを敢えて言わせていただきますと

 

 

チョン・ドンソクのヘドウィグ、

 

 

ふつくしい

 

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基本、韓国のヘドウィグはみんな美しくなるのですが、その中でもドンウィグは群を抜いた美貌ですね。ひたすら「美」でございました。モトが相当いいからな…

 

 

しかも可愛い。「可愛いオカマ」じゃなくて、普通に可愛い女子。

 

そしてイケボ。

見た目が女性だけに、イケメンボイスがさらに強調されてるように思いました。今までそこまで「声がイケメン!」と思ったことなかったのですが、ドンソク氏こんなにいい声だったのね。

 

美女がイケメンボイスで歌うものだから、もう視覚情報と聴覚情報が一致しなさすぎて脳が混乱し、それこそ性別を超越した何かが目の前で展開されているのだけは分かりました。途中でWestlife の “My Love” という、男性ボーカルのバラードを歌っていましたが、声が良すぎて、耳に心地よすぎて、本当にコンサートに来たみたいに引き込まれました。しかし視界にはドラァグクイーン

 

しっとりとした曲はもちろん、ノリのいい曲もイケボでこなす。もともとシャウトしなくてもいい演目でも、ノッたらシャウトしがちなドンソク氏ですが、ロックミュージカルとなればもう遠慮は無用。あちこちで楽しそうにシャウトしまくってましたw

 

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一つ前に出演したジキハイを受けて「チグミスンカン(This is the moment)」って2回くらい言ってたんだけど、みんな分かってたのかな?熊型グミを食べて「クマ、オイシイ」も言ってましたが、あなたよく考えたら怪物やってなーいw

 

数年前に見たムンウィグは、もっと「えげつなw」みたいな下ネタジェスチャー多発だったので、ドンウィグにももう2割くらい下品になってほしかったです。笑  観客のおじさんに跨って顔の前で股間振るのに、遠慮はいりません!張り切ってどうぞ!ドンドンやっちゃって!

 

客席降りる場面では走りまくって、通路のところ大ジャンプしてたのですが、そのジャンプがまさかの

 

 

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開脚バレエジャンプぴょーん!

  

これ体めちゃくちゃ柔らかくないとできないやつww

ゆづるですかww こないだはマイケル・ジャクソンだったしねw

 

他にも脚ぽーんって上げたりしてたし、体柔らかいのね。運動音痴そうとか言ってごめんw

 

 

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さて、ドンウィグを見たかった理由の一つに、「ドンソク氏のトルソーを拝みたかったから」という、ゼウスの雷が落ちてきそうな不純な理由があるのですが。

だって他の作品で脱がなそうだから。いつもタキシードとか軍服とか着てるし。

肝心のドンソクトルソーがどうだったかというと(聞いてない)、ムキムキでもガリガリでもデブデブでもなく、肉と筋肉と皮がほどよく調和したトルソーで、それはそれで納得しました。しかしその腕、肩、胸に滴り落ちるトマト汁を一滴足りとも見逃しませんでした。

 

その後トミーも、とーーーってもよかったです。舞台の背景3面がトミーの顔を映し出す巨大スクリーンになって、本当に大きなコンサート会場にいるみたいでした。ヘドウィグへの感謝の言葉もグッとくるし、Wicked Little Townもいい曲だし、トミーはイケメンだしで、やっぱりここはよいシーン。

 

 

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というかドンソク氏脚なげぇ。パンツが体の真ん中にありました。何言ってるか分からないと思いますが、パンツが体の真ん中にあるんです。

 

イケメンで 美女で

可愛くて スタイル良くて

イケボで シャウト出来て

 

って、あなたは宝ですか。

チョン・ドンソクと書いて宝と読みますか。

 

 

最後、ドラァグになって入場してくるイツァークを見つめて微笑むドンウィグの表情が優しすぎて泣けました。やはりイケメンは正義。

 

 

以上!

 

 

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마리앙투아네트 / マリー・アントワネットは人生もテンションも途中からアデュー

 

 

★★★★★

 

・2019年9月28日(土)19時

・Dキューブアートセンター

マリー・アントワネット:김소향(キム・ソヒャン)

 マルグリット:장은아(チャン・ウナ)

 フェルゼン:박강현(パク・ガンヒョン)

 オルレアン公:김준현(キム・ジュンヒョン)

 

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Myベストキャストで見られて至福!

ハンミュあるあるですが、本当に、本当に、誰を取っても完成度が高すぎて、尊すぎて、圧倒されすぎて、私は苦しい(何

 

 

さてさて。

予習として原作(原案?)となっているらしい遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』を読んでいこうと思い、買ったのですが、

 

わたくしめ、読むのが遅すぎ、

 

渡航前にはなかなか読み進めず、

 

渡航してからもあまり進まず、

 

劇場でも、幕が上がる直前まで読み進めていたのですが、

 

わたくしめ、読むのが遅すぎ、

 

幕が上がった時点では・・・

 

 

皇太子妃マリー・アントワネット王妃にすらなっておらず\(^0^)/

 

 

 

結局何の予習の意味もなく、何なら今もまだ読んでいます。読むの速くなりたい。でもとても読み易い小説です。

 

 

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オルレアン公は、史実上の人物ではあるみたいですが、『王妃 マリー・アントワネット』には登場しませんでした。でもミュージカル版にはなくてはならない存在で、うまい入れ込み方だったと思います。何よりそれによってセクシー大魔王キム・ジュンヒョン様の出番ができるわけですから。嗚呼見れてよかった。今回も悩殺されて全身からよだれが噴き出しました(汚い

 

序盤で利害が一致(?)して、共謀するに至るマルグリットとオルレアン公。ドレス屋さんからの仮面舞踏会のくだりで、オルレアン公が貴婦人に接するように貴族に扮したマルグリットをエスコートするのですが、これは予想してなかっただけに新鮮な画で。

 

ここで二人にアフェアがあったら面白い!いいね、オルレアン公とマルグリット!アリ!アリ!スピンオフきぼう!悩ましげな眉間のオレ様イケメン貴族と勝気な町女のジュテーム劇!

 

とか呑気なこと考えながら前半は見てたのですが、後半、何ですかこれ…

 

 

重すぎ\(^0^)/

 

 

キラキラな宣材に完全に騙されて、ここまで重苦しい作品と思ってませんでした。もちろんマリー・アントワネットの顛末は知っているので展開は予想できたのですが、実際見ると描写の一つひとつが重い、重い。軽い気持ちで見ていただけに、途中から石を持ったまま深い海に沈められていくように、ずんずん気分が下がっていきます。w 特にマリーと子どもたちのシーンは、子を持つ親でなくともずーんと暗い気持ちになりました。

 

それを演じきったキムソヒャンちゃん(馴々しい)の演技もお見事でした。

 

前半でドレスを選んだり、農民ごっこしてる時にはキュートで天真爛漫で、世間知らずな感じがとてもよく出てて、「お姫さま♥」な雰囲気がとても似合ってはいたのですが、「でもソヒャンたそはもっと色んな演技がデキるはずなのにー!」と見ておりましたら。

 

首飾りでハメられたと知った途端に!!

負けん気が強い、闘志むき出しマリーが爆誕!!

 

あの豹変ぶりは見事でした。単に荒ぶってブチ切れ散らすのではなく、高い高いプライドを傷つけられた貴婦人が、気品を保ちつつもブチ切れる(結局猛烈にブチ切れてはいる)といったところでしょうか。目の色変わってました。w

 

地声でどこまでも上がっていけるのがソヒャンたその魅力だと思うのですが、それがこのブチ切れマリーではとても活かされてました。

 

革命後の転落の中では泣き、叫び、やつれ、同じ女優とは思えないくらいげっそりなマリーでした。それでも子どもたちには優しく子守唄を歌い、裁判所では気高く振る舞い、悲惨な運命の中で最後まで母として、女王として生きたマリー・アントワネットの生き様を見事に演じておりました。

 

以前ソヒャンたそが来日した時のコンサートでは、彼女はマルグリットの曲 (Enough is Enough)を歌っていて、その健気でたおやかなところがマルグリットにぴったりだなぁなんて思っていたのですが、マリーもぴったりでした。両方の役が似合う女優ってなかなかいないんじゃまいか。

 

 

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マルグリット役のチャン・ウナさんは、うまいと知っていたのでずっと前から生で見たかった女優さん。パワフルな歌声とSっぽさ(?)がマルグリットに似合う!囚われのマリーと歌う女性デュエットが、二人ともパワフルすぎて鳳凰バジリスクの戦いのようでした。見たことないけど。

 

 

そしてもう彼なしでは昨今のハンミュシーンは語れない、まさに革命児(?)パク・ガンヒョン。何度もいいますが、うまい。うますぎる。神がかった抑揚のつけ方と、落ち着いていてしっかり届く声。もうこれからもどんどん歌ってほしい。これはマイ・ハンミュ推し9の勢力図を塗り替える存在になってきましたよ。

今回は前作「エクスカリバー」に続いて、ソヒャンたそと禁断の恋に落ちる役どころ。ランスロットのヒゲもじゃともおさらばして、すっかり麗しのフェルゼンでした。余談ですがフェルゼンって最期は、民衆に撲殺されて死んだらしいです。あんなに歌うまいのに残念(違

 

 

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前方通路側に座っていたので、市民たちが作って配るチラシを手渡されました。

こんな感じ。

 

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英語かいっ。

 

 

 

以上!

 

 

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사의찬미 / 死の賛美の友情賛美が怖い

 

 

★★★★★

 

・2019年9月28日(土)15時

・大学路TOM Theater & Academy,Hall 1

・キム・ウジン:주민진(チュ・ミンジン)

 ユン・シムドク:최수진(チェ・スジン

 サネ(男):에녹(エノク)

 

 

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Netflixでドラマ「死の賛美」を見ていったので、ウジンやシムドクのプロフィール、当時の情勢がインプットできててよかった。

 

・折々で流れる「死の賛美」が、その都度に違う表情を持つ曲に聞こえて印象的。一番耳に残るノスタルジックな曲。

 

・でも他の曲もよいし、3人とも低くて太い声でかっこよく歌ってた。

 

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・シムドクは綺麗で、大人っぽくて、自立していて、芯が強くて、愛に生きるけど相手に身を任せることはせず、自分の道を切り開いていくタイプのモガ。でも「抑圧されない女性」感が強すぎて、若干ビ○ッチ出てる。経験人数多そう(何

 

・ウジンも既婚者なのにシムドクの他に日本人の愛人もいて、見た目ウブそうなのになかなかのヤリ手。

 

・ウジンとサネが高身長イケメンコンビ、声も似てたので釣り合っててよき。シムドクを口説くサネも、妖しい怪しさを持ったエノクだと絵になる。

 

・チュ・ミンジン氏は「ベア」、「マイバケットリスト」など若々しい役でしか見たことなかったけど、今回声も佇まいも大人の落ち着きがあって素敵でした。

 

・シムドク役チェ・スジンさんは「キング・アーサー」のモルガナぶり。床に横たわったままなのに、歌っている「死の賛美」の時の怨が強すぎて、モルガナの呪いがそのまま続いているようでした。

 

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・日本語の台詞がとても自然。ちゃんと日本人が訳してると思う。

 

・特にエノクの日本語の発音やイントネーションがうまい。

 

・日本語部分の翻訳カードがチケットの封筒に同封されてた。

 

・ウジンとサネの会話に「べすとふれんど」(発音も日本風)という言葉が何回か出てきますが、終盤に逃げ惑うウジンたちを追うエノクサネが「ふれんどぉおぉぉぉ~~~!!」と雄叫びを上げながら追いかけてくるのは本作一番の恐怖シーン。怯えた二人に拳銃ぶっ放されてましたw

 

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・本当に二人、飛び込んでどこ行っちゃったんだろうな~。

 

以上!

 

 

エリザベートは暑い夏を冷やしてくれるような色味ね

 

 

★★★★★

 

・2019年7月15日(月)17時

・帝国劇場

・トート:井上芳雄

 エリザベート花總まり

 ルキーニ:成河

 フランツ・ヨーゼフ:平方元基

 ゾフィー香寿たつき

 ルドルフ:木村達成

 小ルドルフ:大橋冬惟

 

 

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・皆さん歌うまでよきでした。井上芳雄さん声が綺麗。パク・ヒョンシクトートは若々しくてフレッシュなトートだったけど、井上さんはオトナの色気があって素敵でした。

 

・結婚式〜ラストダンスに入るまでの白いシーツのパフォーマンスが素敵だった。4本の細長いシーツをシシィを捉える壁に見せたり、ヴァージンロードに見立てたり。二階の上の方の席だったけど、ここのシーツ遊び(?)が綺麗に見えてよかったです。

 

・ラスト・ダンスでは最初の方ずっとトートがエリザを「あなた」と呼んでて違和感あったんだけど、途中からは「お前」。ずっとお前じゃだめなの?トートは「お前」でしょ?(何


・初夜の描写が遠回しなようで結構露骨。笑


・「パパみたいに リプライズ」では、片翼のトートダンサーズがお父さんの横に並んでゆったりと踊ってて、舞台全体がギリシャの神殿みたいになってるのが好きでした。

 

オーストリア帝国内の民族主義が台頭するあまりナチスが生まれる!というくだりがあって、本当にナチスまで出す必要あるのかな?歴史の大きな流れは繋がってるのかもしれないけど、少し先取りしすぎな気もするし、話が逸れる気もするし、単純にあんなに大きいハーケンクロイツを突然見せられて少なからずショックでした。

 

 

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・トートダンサーズたちの、どんどん衣装の布が薄くなるところも注目ポイント。最初は重厚な衣装を着ているのに、最終的には「上裸にテープ」というトルソー好きホイホイな格好になります。上裸というのはもしかしたら「上裸風衣装」かもしれませんが、遠すぎて目を凝らしても分かりませんでした(凝らしたんかい

あとトートダンサーズたち、ダンス中にペアになってリフトしてたりして、男性同士なのに大変だなぁと思いました。でも軽やかでとてもよかった。

 
・毎度のことながら、分かる言葉での観劇は言葉が分かっていいね!(当たり前

ルキーニのナレーションとか政治外交の難しいところとか、韓国語では何割かしか分かってなかったので、ここではこんなことを言っていたのかほうほうとなりました。

 

苦労してチケットを取った今回のエリザ。普段ハンミュしか見ませんが、さすがは大作だけあってクォリティ高く、満足できました。古川トートも見たかったですが、またの機会に。

 

以上!

 

 

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더캐슬/ ザ・キャッスルのあるあの場所に戻りたくなったよ

 

 

★★★★★

 

・2019年6月23日(日)18時

・YES 24 Stage 1

・ホームズ:김재범(キム・ジェボム)

 ベンジャミン:이용규(イ・ヨンギュ)

 ケリー:김려원(キム・リョウォン)

 トニー:강은일(カン・ウニル)

 

 

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🏨お城ホテルの話


出演俳優陣からしていい作品に違いないということで、見にいきました。

まだあまり知られていない作品だと思うけど、細かいところ結構あって忘れそうだし再演されたらまた見たいかもだからあらすじをメモっておこう。

 

 〜プロローグ〜

ホームズが、燃えたキャッスルの跡地から骨がたくさん見つかったらしいと語る。そしてまだ発見されぬ骨もきっと沢山あるし、跡形もなく消えてしまった人が沢山いるとも。


〜本編〜

殺人を犯したケリーとベンジャミンがシカゴに逃げてくるが、途中でカバンが他人のものとすり替わってしまい途方にくれる。そこにホームズが手を差し伸べて自身の所有するキャッスルホテルに身を置いてあげる。

ホテル周辺をうろつく絵描きのトニーに「キャッスルに入るな、入って出てきた者はいない」と忠告されたこともあり、ベンジャミンはホームズの親切や不自然なホテルの作りを不審がる。それでも2人はケリーのお腹にいる子のために、生活を立ち上げるためにしばらくホテルに身を置くことにする。

なかなか仕事が見つからない日々を過ごすベンジャミンに対して、トニーはキャッスルホテルに入っていったジュリアという女性を探していると説明する。

ケリーはホテル内をうろついているうちにホームズの死体処理部屋を発見してしまう。ホームズはケリーに客殺しを手伝うように迫り、ケリーはそれを受け入れる。なぜならいつの間にかホームズはケリーたちが殺人犯だと言う証拠を掴んでいて、警察には黙っていてあげることを条件にする(すり替わったバッグから足がついた様子)。ケリーは客をガス室に連れていって殺害する仕事を請け負う。

そのうちベンジャミンも死体処理部屋を見つけてしまい、嫌々仲間に加わる。実はトニーが探しているジュリアもとっくに殺されていて、ケリーがジュリアに成り代わって生きていくことにする。

ある日ケリーはジュリアの服を着ているところをトニーに見られてしまい、トニーをホテルに招き入れて殺すことにする。ガス室に入れるがなぜかトニーは死なず、ホテル内のどこかに逃げてしまう。

これは3人の悪事がバレる大ピンチ、しかも外では記者もホテルを嗅ぎ回っているということで、ホームズはホテルに火を放って証拠隠滅し、さらにはベンジャミンに全ての責任を押し付けて犯人に仕立て上げようとケリーに持ちかける。お腹の子のためには僕とベンジャミン、どちらが有益かを考えるのだ、と。ケリーはその作戦をそのままベンジャミンに漏らし、逆にホームズを陥れようとする。

ホテル最後の晩を祝して3人で解体部屋でワインを飲む時にホームズに毒を盛る作戦だが、ケリーがグラスワインを配った段階でなぜかホームズは「俺とベンジャミン、どっちに毒を入れたんだ?」と聞く。そして不敵にも杯を煽った直後、苦しみだす。ホームズは死ぬかに見えたが、すぐに元に戻り、苦しむフリだったと分かる。固まるベンジャミン。俯くケリー。ベンジャミンは隠し持っていた拳銃でホームズを射殺する。ケリーは「『ジュリア』として生きていくためには、『ケリー』を知る全ての人を消さなくてはならなかったの!それにお腹の子はあなたじゃなくて私が殺したヤツよ!」と裏切りの理由を説明する。ベンジャミンはそれでも一緒に生きていきたいと言うが、ケリーは部屋を出ていく。その後を追うベンジャミン。地下室では死んだはずのホームズがすくっと起き上がり、ベンジャミンが口をつけなかったワインを飲む。これもまた飲んでも平気であった。

全てを消し去ろうとホテルに火を放つケリー。ケリーを探すベンジャミン。ホテル内を行き惑うトニー。死んだはずなのに再び現れてみんなを驚かせるホームズ。全てが嫌になったケリーは燃えている部屋に閉じこもって死ぬ。が、なぜかすぐに立ち上がる。救急車両のサイレンが聞こえてきて、自暴自棄になったベンジャミンは「私がホームズだ」と言って警察に捕まる。


〜エピローグ〜

プロローグの時同様にホームズが出てきて語るが、今度はベンジャミンの俳優。あの時2人がシカゴに来ない決断をしていたら、キャッスルに入らない決断をしていたら…。重大な決断の前にはそれがもたらす結果を考えないと、という趣旨のこと(多分)を言い残し、絞首刑に処される。

 

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🏨テハンロの醍醐味

 

いかにも韓国の観客が好きそうな話!最後は死んだはずの人が生き返ったり、いや実は死んでなかったのか?死んだけど生き返ったわけではなく幻覚だったのか?ホームズはベンジャミンだったのか?あなたは私で私はあなた?ということでよく分かりませんが、その辺もまたハンミュ的。


ワインのくだりとかも、心理戦な感じがあって好き。母は強しというべきなのか、既に人ひとり殺めていて肝が据わっているのか、ケリーは打算的で行動力がある。殺人も淡々とこなすし、ベンジャミンに依存せず自立してるし、邪魔者は殺すスタイルだし、普通にベンジャミンをも切って捨てようとするしで、ケリーのキャラも結構好き。


この日はなぜかベンジャミン役が、いつもはトニーを演じている人でした。見たことない俳優さんだったし、本当はチョン・ドンファ氏あたりだったら最高だったんだけど、イレギュラーキャスティングを見る機会があったということで。イヨンギュ氏も十分お上手でした。プレコで見たトニーの時と同じヘアスタイルだったから、髪形くらい変えればよかったと思うけど。そして彼の出待ちではなぜかすごーく長いファンの列が出来てて、何か特別な人なのかしら(失礼

 

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久々(一年半ぶり?)にテハンロに来ましたが、やっぱりこういう小規模の作品でもピカイチの俳優が出てるのがいいところ。

「ゴーン・トゥモロー」以来ずっと再会を楽しみにしてたジェボム氏、期待していた通り演技も歌も最高でした。いや、特に演技に関しては期待以上のサイコパスホームズでしたw

話してるうちに自分の世界に入り込んで早口になるのも、突然真顔の低い声でケリーに「これ(死体用袋)を持て。持て。持て。持て」と冷酷に命令するのも、怒るような状況でも声を荒げることなく逆に余裕が増すようなところも、もう本当にサイコパス過ぎてこの人大丈夫かしらと思ってしまいました最高。

ゴーンみたいに大きな舞台に立つ姿も良かったけど、こうして近いところで細かい演技を見せられることに大きな価値がある俳優さんだと思います。


そして他のホームズ俳優たちも、きっとそれぞれに全然違うサイコパス野郎を演じていたことでしょう。うんうん、いいねテハンロ、また来よう。

 


以上!

 

 

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안나 카레니나 / アンナ・カレーニナ 生き様も舞台もあんな華麗にな

 

 

★★★★★

 

・2019年6月23日(日)14時

・ブルースクエア

・アンナ:김소현(キム・ソヒョン)

 ヴロンスキー:김우형(キム・ウヒョン)

 カレーニン:서범석(ソ・ボムソク)

 レーヴィン:최수형(チェ・スヒョン)

 キティ:이지혜(イ・ジヘ)

 パティ:한경미(ハン・ギョンミ)

 

 

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🚉壮大な小説のスリム化成功例

 

アンナ・カレーニナ、わたくし読むのが遅くて読了に一年半要したのですが、そうでなくても読みごたえのある大作。これをどうやってミュージカルにするの!と興味津々でしたが、案外すんなりすっきりということになっていて驚きました。

もっとも、一年半も読んでいたので前半に何があったかなんてほとんど覚えておらず…あらすじを読み直していきましたが、アンナ-ヴロンスキーラインと、キティ-レーヴィンラインの大筋が分かっていれば十分、という感じでした。

 

一度幕が上がれば、豪華絢爛なロシアの社交界に引き込まれます。背景が大きなスクリーンになっていて、そこに映像美が展開されます。駅舎、列車、競馬場、舞踏会場などのシーンが印象的でした。ここまで手が込んでいるともはや清々しいですね。下手なセットよりもリアルです。ゴージャスでリアルな映像で、シアター型のアトラクションみたい。

 

その中を美しいアンナとイケメンヴロンスキーが行き交い、キティとレーヴィンは可愛らしく、折々に不気味なMCが出てきて不穏な空気を漂わせます。どこを切り取っても絵になる、金太郎飴みたいな作品でした。

 

 

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これはどちらかというと小説そのもの感想ですが。アンナがヴロンスキーの心を決定的に奪う瞬間、それは舞踏会でのことなのですが、その時に着ているのが「黒いドレス」というのがまたニクい!これは原作でも黒いドレスと書かれているのですが、トルストイのセンスに感服しました。ヒロインの美貌をハイライトする場面で、普通、黒い服を着せますか?いや着せない。(反語 普通、赤とかゴールドとか、その辺でしょう。 それをトルストイは敢えて漆黒のドレスを着せて、見事にアンナの魅力を最大限に引き出したわけですねぇ。

舞台でももちろん、この黒いドレスでアンナは舞踏会に登場します。その後のふわふわコートとか、シンボリックな赤いドレスとか、ビシッとキマるヴロンスキーの軍服とか、この作品は衣装もとてもセンスがよく、登場人物の魅力を引き立てます。

 

 

🚉女の一生 名場面集

 

もちろん、見どころ、歌いどころも満載。アンナとヴロンスキーのデュエットはいくつかありますが、どれも切実で美しいメロディ。キム・ウヒョン氏、私のイメージするヴロンスキーよりは少し先輩な印象だったのですが、渋い出で立ちとイケボでとても魅力的でした。

 

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アンナは今回キム・ソヒョンさんをチョイス。初演のオクジュヒョン、チョンソナを考えるとお色気度は少し下がる今回(特にチョンソナさんのツンとした美貌とムンムンな色気と肉感的な姿が本当にぴったりで、生で見てみたかった…)。ダブルキャストのユンコンジュさんも大大大好きだけど、人妻感があるのはソヒョンさんかなーなんて。どうやったらあんなに可愛くて可憐で愛らしい美魔女になれるんだ・・・お人形さんのようでした。これならモテモテ青年士官をしてひと目で惚れさせちゃうのも納得。

逆に歌は、高音は綺麗だけど低音があまり得意でなさそう、というイメージがあったのですが、それもそこまでは気になりませんでした。例えば「私は自分の気持ちに従って愛に生きるわ!」と歌う「自由と幸福」(日本語にするとなんだか怪しげな思想の曲みたい^_^;)。ソヒョンさんが、こんなに地声で歌うとは思ってませんでした!高い裏声の方が聞き慣れてるからか心地いいけど、こんな地声も出るんだ~。新鮮。

 

 

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キティとのデュエットも良かったです。物語終盤、二人がそれぞれの立場から「自分がこうなるとはあの時は思ってもいなかった」と歌うのですが、かたや素朴ながら確かな愛を掴み、かたや蔑まれる愛の深みに嵌り、ここまで残酷な対比ってあるかしら?キティが高い場所で高音で、アンナが低い場所で低音で歌うので、声のトーンや立ち位置でもコントラストがはっきりと表れる、二人の顛末の象徴的な曲だと思いました。

 

 

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順番は忘れましたが、アンナがこらえ切れずに自分の息子に会いにいくシーンは、小説でも記憶に残っていたところだったので、取り上げられて納得でした。どんなにヴロンスキーを追いかけていても、自分の子どもはやっぱり捨てがたいんだなぁと。でもアンナ、ヴロンスキーとの子ども(ミュージカルではカットされていますが、原作では娘がいる)にはあまり興味を示さないんですよね。

 

 

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一番好きだったというか、心動かされたのはオペラのシーン。ヴロンスキーの制止を振り切ってオペラ歌手パティ見たさに劇場に来てしまい、社交界から総スカンを喰らうアンナ。「もう何もかも嫌!!」と椅子に突っ伏した時に鳴り響いたパティの歌声は、まるで異次元から聞こえてきた声かのようだったと思います。

 

この場面、セットも含めてとても好き。手前にアンナが座っていてパティがいる舞台を見上げている形で、アンナに当たっている温かい照明が不思議。その奥ではパティが高い舞台上にいて、背景には壮大な宗教画が広がっており、まるでパティが天上から、天使たちに囲まれて歌っているよう。

 

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「世界で一番美しい音色は人間の声」と言いますが、本当にその言葉がぴったりだと思いました。この場面でパティが歌う曲はメロディも歌詞も美しくて、それが美しい声で歌われていて、アンナの運命を一種決定づける致命性を持った曲。圧倒的な悲しさと超越した美しさが渦巻いて「死」という答えが導き出される場面に遭遇して、アンナじゃなくてもぼろぼろ泣いてしまいました。全体を通して見ごたえ十分の作品ですが、このシーンのためだけに見てもいいレベルです。

 

 

ソヒョンさん、カーテンコールまで泣いてたけど、これは相当堪えるだろうなぁ…。愛して悲しんで自殺して、ってすごく疲れそうな舞台だもん。ふと思ったんだけどミュージカル俳優って、一生に何回くらい舞台上で死ぬんだろう。命がいくつあっても足りないとは、ことのことだな! 

 

以上!

 

 

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엑스갈리버 / エクスカリバーの持ち主はシャー

 

 

★★★★★

 

・2019年6月22日(土)19時

・世宗文化会館

・アーサー:김준수(キム・ジュンス

 ランスロット:엄기준(オム・キジュン)

   モルガナ:신영숙(シン・ヨンスク)

   マーリン:김준현(キム・ジュンヒョン)

   グィネヴィア:민경아(ミン・ギョンア)

 

 

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👑ミュージカル俳優キム・ジュンスを訪ねて

 

あの独特の声に慣れるのに3年かかり、やっとジュンスデビューしました!

私はミュージカルに関しては実力至上主義者(顔面は加点要素に過ぎない)なので、進出してくるアイドルには厳しく、うまいのかどうか分からない人にお金は使いたくないのですが…。さすがにジュンスもこれだけミュージカルに出ていればミュージカル俳優としての実力もついてるのだろうと思い(何様)、今回思い切って見にいってみました。

 

特に今回、比較対象が前日に見た実力者カイという不利な状況に(私の中で勝手に)立たされていたジュンス。しかし結果的には見てよかったと思いました。もちろん歌を比べてしまうと、ちょっと低音域が狭いな~とか、もうちょっと声量がほしいな~と思う場面はありましたが、アーサーという役の見せ方の点では妙に説得させられる演技で、カイ版よりもストーリーがすっと入ってきました。

 

カイに比べてシャーサーは子どもみたいにあどけなく、元気よく、キュートなアーサーでした。冒頭の仲間たちとの戯れシーンから、皆に愛されているのが分かります。ランスロットがオム・キジュン氏ということもあり、本当に兄と弟という感じで。後半に周囲を突き放すあたりは、イヤイヤ期の子どもかと思いましたがww

 

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でもその子どもらしい素直さやナイーブさが、最終局面に効いてきました。

腕の中で生き絶えたランスロットに、子どもみたいに何度もごめんねごめんねと謝って号泣するシャーサー。悲しみに入り混じる罪の意識がこの日のアーサーからは強烈に感じられて、涙を誘われました。

 

また、シスターになったグィネヴィアとの再会シーン。かたや心配してくれる妻を未熟にも突き放してしまったこと、かたや悲しみに任せてワンナイト(だとやっぱり思ってる)してしまったこと。どちらも熟考の末の決断だったならいざ知らず、ほんのいっときの感情に流されてした行動だからこそ、取り返しのつかない重大な結末に一層悲壮感を感じました。ここはいつも『源氏物語』の、出家した藤壺と源氏を思い出してしまうのですが(どうでもいい)、流石に源氏でもアーサーでも、一度俗世を捨てた人を俗世には戻せないわけで、実質的には今生の別れということになるのです。

 

こうして、愛し愛された人々を失ったアーサーは唯一残ったエクスカリバーを持ち、岩に登って天に剣を突き上げて終わります。

この一連の結末、カイバージョンの記事でも書いたように、最初見た時は結構モヤッとしていたのです。それはおそらくカイ氏は、しっかりとした足取りで登りつめ、エクスカリバーを振り上げていたから。立ち直りはやっ、と思ってしまった。

対してジュンスのアーサーはやっとの思いで剣を拾い上げ、打ちのめされた様子でよろけながら岩を登っていき、最後の力を振り絞って剣を突き上げたようでした。私としてはこちらの方が感情の面でも説得力があるし、ランスロットやグィネヴィアと別れた悲しみの余韻が残っていて、前日と違って「エクスカリバー」がとても悲しい話に思えました。ミュージカル俳優キム・ジュンスに拍手を送りたいと思います(だから何様

 

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話は全然変わり、これはおそらく逆に彼がアイドルだからこその発見なのですが、ジュンスから観客への視線の送り方がすごい。今回の舞台は銀橋のようなものがあるのですが、その端の少し出っ張っている部分でアーサーが歌う場面がいくつかあります。そういう、観客との距離が近い場面で歌っているのを見ていると、ジュンスは目の前にいる観客を一人ひとり覗くように見て歌っているんです。ミュージカル俳優ではあそこまで観客をしっかり見つめるのは見たことなかったので、これが一流アイドルなのかしらと感心。あんな見つめられ方をされたら、確かに心を掴まれるかもしれません。

 

 

👑ベテラン勢も本領発揮

 

オム様ランスロットもさすがとしか言いようがありません。まずはその変わらぬ若々しさ!実年齢の半分くらいの役も軽々とこなしてしまうのです。ハンミュ界ではキム・ソヒョンさんが「アラフォーに見えない女優」として名を馳せていますが、男性版を決めるなら間違いなくオム様が抜擢されると思います。

もう一つさすがなのは、やっぱり演技力。前日のパクガンヒョンくんの時は特に何とも思いませんでしたが、オム様を見ると演技うまい!と思います。開幕数日後にしてすでに余裕があるというか、シンプルなのに身のこなし一つひとつが多くを語っていました。オム様久々に見ましたが、やはり素晴らしい俳優!

 

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マーリンとモルガナは、前日と同じお二人。ここが同じキャストにして抜群の安定感だったので、安心して他の役に集中できました。お気に入りの2人なので、2日連続でこの爆発力と濃厚な色気を堪能できて、もう本当にご馳走様でしたおかわりください。

 

おかわりと言っていいか分かりませんが、ミーハーなので観劇後に楽屋口に行ってみたらジュンヒョン様の退勤に遭遇できました♡ 生ジュンヒョン様を近くで拝見し、なんとサインまでいただき、握手もしてもらうというフルコースを終演後にいただいて、お腹も胸も頭も全部はち切れました。充満する色気を吸いすぎて寿命が3年くらいどうにかなったのですが、寿命は果たして延びたのか、縮んだのか。お肌もオーバー40とは思えないほどピカピカでした。はぁ至福。

 

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以上!

 

 

oucalaisponti.hatenablog.com